忖度しない、おもねらない。テレビ報道に牙をむく一匹狼のコメンテーターエンドウさんの反逆【書評】
公開日:2025/2/13

偏向報道や不適切報道など、2024年は報道に関してさまざまな指摘が飛び交った一年だったと言えるのではないだろうか? 『反逆コメンテーターエンドウさん』(洋介犬/KADOKAWA)は、まさにそんな鬱屈した社会に一矢報いるようなマンガだ。主人公のエンドウさんは、テレビを主戦場とするコメンテーター。どこかみんながおかしいと感じているメディアの一方的な報道やコメンテーターの独善的な言葉を、誰に忖度することもなくズバズバと切り裂いていく。モヤモヤして形にならなかった言葉や感情を、エンドウさんが代弁してくれる。そんな爽快感にあふれた作品だ。
子どもにハーネスをつける親に嫌悪感をあらわにする共演者に対し、「あなたのほうが古い価値観にしばられているのでは?」とバッサリ切り捨てたり、毎年発表される流行語については「流行語なんて、流行(させたい)語か、流行(していたことにしたい)語の略称では?」なんて辛口なコメントをしたり。
そんな辛口全開のエンドウさんだが、実はテレビでもさりげなく妻のノロケ話をするような愛妻家。どこか愛嬌があって、ただ厳しいだけの人に描かれていないところが、エンドウさんの言葉を素直に受け入れやすくしている。
有名司会者の恋バナや、他のコメンテーターとの絶妙な関係などから、エンドウさんがズバッと意見を突きつけるだけではない一面が垣間見える。そんなバラエティに富んだサブエピソードもこのマンガの見どころのひとつと言っていいだろう。
最近、マスコミや世間に対して不満を感じる人にとっては、エンドウさんの主張に共感できるところばかりだろう。自分の考えを整理しなおすきっかけにもなるはずだ。エンドウさんの切れ味の鋭さを感じてみてほしい。