虐げられた少女はクールで優しいスパダリ御曹司に溺愛される!? 艶やかな恋模様を描くレトロモダンなラブロマンス【書評】

マンガ

PR 更新日:2025/1/27

華に浪漫~夜伽のはずですが溺愛されています~ミナミカズキ:作画、夜桜ゆーり:原作、風華弓弦:構成/DPNブックス

 かっこよくて非の打ち所がない、スパダリなイケメン御曹司に溺愛されたい! そんな妄想が一度は頭をよぎったことがある女性も多いだろう。そんな夢物語を追体験させてくれるのが、マンガというコンテンツの魅力のひとつでもある。

華に浪漫~夜伽のはずですが溺愛されています~』(ミナミカズキ:作画、夜桜ゆーり:原作、風華弓弦:構成/DPNブックス)も、そんな女性の願望を叶えてくれる溺愛系マンガのひとつだ。

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 小説投稿サイト「エブリスタ」で人気を呼んだ作品のコミカライズ版となる本作。主人公・つばきは幼い頃からとある特異な能力を持つ自身の瞳のせいで、周囲から虐げられ、挙句の果てには監禁されるような人生を送ってきた。

 早くから両親を亡くし天涯孤独となったことに加え、生き延びる術はもはや身を売るしかない。そんな状況から逃げた先で、彼女は偶然名家の御曹司・京と出会うことに。

 出会ったばかりの場で、彼に「買われた」ことでどうにか生き延びた彼女。だが京は一介の夜伽役以上につばきを手厚く世話し、彼女もまたそんな彼の優しさに少しずつ惹かれていく…というあらすじだ。

 ストーリーの最たる見どころは、やはり少しずつ関係を深めていく、つばきと京のふたりの恋模様! 第三者から見れば明らかに京がつばきを大層気に入っており、「特別な女性」と呼んでいることからもその好意は明確だ。だがこれまで不遇な人生を歩んできたことに加え、あくまで自身は彼に「買われた存在」であると自覚するつばき。そんな彼女が過度な期待をしないよう自制心を働かせつつも京に惹かれていく様子は、読み手にとってもどかしくも共感できる部分もあるのではないだろうか。

 また物語には、幼い頃から京を見守ってきた女中たちや京の友人・中院など、ふたりの関係を温かく見守る味方も登場する。ふたりに幸せになってほしいと願う私たち読者に近い存在のキャラクターに、親近感を覚える人もきっと多いことだろう。

 さらに本作の魅力の1つに、謎が謎を呼ぶストーリーの展開がある。物語が進むにつれて、周囲から忌み嫌われる主人公・つばきの緋色の瞳が持つ能力は、「人を呪い殺す」ものではなく「未来を予知する」ものだと明らかになる。特異な能力であることに加え、使い方によっては大きな脅威ともなることから、「能力の真相を誰にも明かさないように」と生前の母から言い聞かせられていたつばき。だが、なぜ彼女はそもそも、そのような特別な力を持っているのだろうか。

 重ねてやはり気になるのは、「なぜ京がそこまでつばきを気に入ったのか」ということだろう。もちろん京の一目惚れという説も考えられる。しかし大企業の社長という身分で、これまで大勢の美しい女性と接したことのある京が、みすぼらしい姿の「自分を殺す瞳を持つ女性」に、出会ってすぐそこまで入れ込むとは考えづらいのだ。

 その他にも、経営する会社についてやこれまでの生い立ち、そして弟との確執など。つばきをかくまう京については、まだまだ明かされていない部分もたくさん。それもまた、物語の続きを知りたいと興味を惹くポイントだろう。今後のふたりの行方が気になって仕方がない。

文=ネゴト/ 曽我美なつめ

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