「これからは永遠に一緒だ」運命の歯車が回り始める『龍神と許嫁の赤い花印』最新刊! 『鬼の花嫁』作者の描く、和風ラブファンタジーはコミカライズ版も胸キュンの嵐【書評】

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PR 更新日:2025/1/31

龍神と許嫁の赤い花印2中野まや花:作画、クレハ:原作/スターツ出版

 自分が生まれてきた意味、それを感じさせてくれる恋がある。すべてはあの人と出会うためだったのだ。今まで価値などないと思っていた日々が瞬く間に色づき、輝き出す。そんな運命の恋をみずみずしく描くのが『龍神と許嫁の赤い花印』(中野まや花:作画、クレハ:原作/スターツ出版)。『鬼の花嫁』で知られるクレハ氏による和風シンデレラストーリーを、中野まや花氏がコミカライズした作品だ。幻想的な世界観の中で紡がれていくラブストーリーはため息が漏れるほど美しく、そして、胸キュンの嵐。ついに完結した原作文庫本5巻とあわせて、コミカライズ版第2巻も発売され、ますます注目が集まっているラブファンタジーだ。

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 天界に住まう龍神とその伴侶となる人間を引き合わせるために作られた、龍花の町。そこから遠く離れた山間の村に生まれた少女・ミトがこの物語の主人公だ。ミトの手の甲には生まれた時から赤い椿の形のアザが浮かんでいる。本来ならばそのアザは、龍神の伴侶の証として祝福されるべきものだが、この村では凶兆の証。ミトは「忌み子」と呼ばれ、村の人々から虐げられ続けていた。

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 そんなミトの支えは、夢の中の時間。銀色の髪に紫紺の瞳、この世のものとは思えない美しい顔立ちをもつ、波琉(ハル)という男と過ごす時間は、ミトの唯一の救いだ。実は、波琉は天界の龍神たちの頂点に君臨する4人の龍神の一人・紫紺の王と呼ばれる龍神。夢の中でふたりは出会うがガラスのような壁があり、触れることも声を聞くことも叶わない。目の前に現れる美しい男性が何者かも、どうして度々夢に現れるのかも分からなかったが、それでも、両親以外に優しされたことのないミトにとって、彼と過ごす時間が希望になっていく。その思いが波琉に伝わった時、波琉は夢でしか会えないミトを現実世界でも探し始める。

 最新第2巻は、波琉がミトを見つけ出す場面から始まる。ミトが見舞われるあまりにも理不尽な日常に「早く救いが来てほしい」と祈るように前巻を読み進んできたからこそ、ようやく会えたふたりの姿にはジーンとくる。ミトが受けてきた仕打ちを知るにつれ、波琉の怒りは止まらない。波琉とミトは龍花の町へと移り住むも、村に残した両親とは連絡が取れなくなり……。

 だが、そんな困難を乗り越えた後、始まった新生活の甘さといったらない。「これからは永遠に一緒だよ」――ミトを溺愛する波琉と、そんな波琉に照れまくりのミトの姿に、頬は緩まされっぱなし。こちらまで幸せな気分にさせられてしまう。愛の力とはなんて偉大なんだろう。村の人々に数々の嫌がらせを受けてきたミトは、今まで自分が生まれたことさえ後悔していた。だが、波琉の存在はミトに生まれた意味を与えた。そして、感情の起伏に乏しかったはずの波琉もまたミトによって変わった。波琉はミトのことが愛おしくてたまらず、かと思えば心配で落ち着かない。天候を司る龍神である波琉の感情にあわせて、天気がコロコロ変わる様子には思わずクスッと笑わされてしまう。互いに愛し合い、必要とし合う。そんなふたりの姿に心が温かくなる。

 そして、第2巻は、ミトの高校生活の幕開けも描かれている。波琉はミトと一緒に過ごす時間が減ることを嘆くが、これまで村の人々の嫌がらせによって学校に通えなかったミトにとって、学校生活は憧れだ。だが、どうやらそれはミトが思い描いていたものとは違うらしく……。ああ、これからミトと波琉を何が待ち受けているのだろう。「ふたりなら何があっても大丈夫!」と思いつつも、次の巻が待ち遠しい。完結した原作小説もあわせて読み進めるのもおすすめ。時空を超えた和風ラブファンタジー、思わずニヤけてしまうような胸キュンラブストーリーに、あなたもどっぷりハマってみませんか。

文=アサトーミナミ

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