ヒロイン全員許婚!?教え子になった4人の幼馴染から花嫁を選べ『かさねがさねの初恋ですが』【書評】

マンガ

更新日:2025/1/29

かさねがさねの初恋ですがもろみ新/白泉社

 幼い頃に交わした「結婚しよう!」の約束は、大体叶わないものである。ソースは筆者自身だ。そんな経験を持つ人間は、おそらくちらほらいるのではないだろうか。 しかし、マンガともなれば、結局約束を交わした相手と結ばれるはず。しかし本作『かさねがさねの初恋ですが』(もろみ新/白泉社) ではそうは問屋が卸さない。そう、主人公・八朔環緒(はっさく・たまお)に対して、結婚の約束をしていたヒロインは4人もいたのだから……!

  環緒が軽薄な主人公というわけではなく、6歳下の、当時はまだ幼かったヒロインたちから「結婚しよう!」と言われても本気にしていなかっただけ(これはまぁ、当然とも言える)。しかし、ヒロインたちは本気も本気。環緒と結ばれるため、離れ離れだった6年の間、全力で自分自身を磨き上げ続けてきたのだった。そんなヒロインたちの気持ちもつゆ知らず、環緒は彼女たちが通う学校の新任教師として故郷・香川県琴平町へと舞い戻る。

  文武両道な秀才・橘高鈴凛(きったか・すずり)は、元々勉強がそこまでできなかったものの、環緒と結ばれるために学道へ邁進。今や大学模試で有力大学にオールA判定が出るほどの成績を収めるまでになった。だが、環緒が婚約を覚えていないとなったら、すぐさま参考書を投げ捨てる(いい意味でも悪い意味でも)思い切りの良さがあるところが、ただ頭がいいというわけではなくて可愛い!

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 そして 巽海真空(たつみ・まそら)は、環緒との約束を胸に「可愛い」を磨き続けた。その結果、SNSでのフォロワーは2万人越えのインフルエンサーに。料理(下手だけど)もして環緒へアタックし続ける……! ただ、彼女は元々、運動が得意で男子と遊ぶことが多かったボーイッシュな少女。それゆえの葛藤も抱えていて、その描写とカワイイを目指す現在地点の対比がとても愛おしくなる。

 マイペースで学校を休みがちだった 善勝媛(ぜんしょう・ひめ) は、結婚の約束と環緒の言葉を励みに学校へ登校するように。守られるだけの存在ではなく、自立しようとし始める。神出鬼没で独特の言語センスを持っている彼女といることで、環緒は予想もつかない展開に巻き込まれていく。その立ち位置と、不意に見せるキュートな笑顔で胸がキュンキュンされること必至だ。

 また、スタイル抜群なギャルでありながら超ツンデレな 小日向めぐ(こひなた)も結婚を約束したひとり。「ちゃんとわがままを言えるくらい自信を持てたら」という約束をして、努力を重ねてきた。しかし、久しぶりに会った環緒には、なかなか気持ちを素直に伝えられない。そのツンデレっぷりがたまらない!

 そんな4人の担任になったものだから、環緒も大変! 結婚の約束を思い出したものの、教師と生徒という間柄なので結婚はできないと拒んだ環緒。しかし、ヒロインたちは2年後の卒業式 で誰かを選んでくれればいいと言い、その日からアタックを開始するのだった。

 成長したことで感じる数年前とのギャップ。そして自分に好意を抱いている美少女だと分かりつつも、教師としての理性を働かせる環緒。ヒロインたちはそんなことお構いなしに攻勢、攻勢、攻勢! その果てには体育倉庫に閉じ込められたり、デートをしたりと距離を近づけるイベントが待っていて――!
 ――というハラハラドキドキ胸キュンな展開から、第5話のラストによって本作は新たなステージへ。誰が選ばれるのか分からない(そもそも環緒は誰かと結婚するのか!?)新たなハーレムラブコメをぜひ目撃あれ。

文=太田祥暉

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