「『トモダチゲーム』片切友一は元々ゲス顔をするキャラではなかった」原作担当が振り返る、作画担当に全てを伝えない作品づくり【『トモダチゲーム』完結記念 山口ミコト×佐藤友生インタビュー】

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更新日:2025/2/15

友達を信じるか、それとも裏切るか――。大金を賭けた謎のゲームに、否応なしに参加させられた5人の高校生が凄絶な心理戦に挑む『トモダチゲーム』(「別冊少年マガジン」連載)が、2024年10月刊行の第26巻をもって、ついに完結。謎が謎を呼ぶ展開が続いていただけに最終話に向けて注目が集まっていたが、予想以上に感動的な終幕を迎え、読者から拍手喝采を受けた。原作担当の山口ミコト氏と作画担当の佐藤友生氏にそろってご登場いただき、10年8カ月に及んだ並走を振り返っていただいた。

――ついに『トモダチゲーム』も完結。あらためまして、完走お疲れ様でした。

山口ミコト氏(以下、山口)佐藤友生氏(以下、佐藤)ありがとうございます。

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――10年8か月に及ぶ連載でしたが、企画当初からお二人で作品づくりをされる予定でしたか?

山口:もともと自分で漫画を描いていたんですけど、「原作者として本格的にやりたい!」という時期だったので、佐藤先生と二人でやることになりました。
何人か作画の候補を立てていただいた中で最後のほうに出てきたお名前が佐藤先生で、絵柄がイメージにぴったりだったので「ぜひこの人にお願いしたい!」と。

佐藤:たしか前作の単行本を参考にされたんですよね?

山口:そう、『探偵犬シャードック』(原作・安童夕馬)です。

佐藤:サスペンスなので犯人の顔が怖くて。そこがイメージに合ってたのかな?

――佐藤先生はオファーを受けて、すぐに快諾されたのですか?

佐藤:最初は軽くお断りを入れております(笑)。頭脳バトル系のジャンルをあまり読んでこなかったこともあって。1話のネームを読んだ時も「私には描けない世界だな」と斬新に感じました。
でも編集さんから山口先生が「僕の印税の取り分を下げてもいいから、お願いしたい!」とおっしゃっていることを聞いて、「そこまで買ってくださっているのなら、やってみようかな」って。

山口:それがきっかけで承諾いただけたっていうのは、かなり後になってから聞きました。実は『トモダチゲーム』は描き方によっては粗削りに見えてしまう作品なんですよ。だから少年誌の連載だけど、できるだけ重い画面を作れる方がハマるだろうなと。

佐藤:ただ、当初はゲス顔がこんなに出ると思っていなかった(笑)。

山口:予定よりも増えました。当初は顔芸がここまで受けるとは思っていなかったので。だったら、お家芸的にしようと。

――たしかに序盤だけ読むと、友一があんなゲスい顔をするようなキャラにはとても思えないですよね。第2話で「下着の色」の話をするあたりから暴走が始まる。

山口:最初はもっと頭を使って、力説して、なるほどって言わせる方向に演出を振っていたんですけど、編集さんから「説明したらわかるんだけど、何がすごいのかが伝わらない」と言われてしまい。だったら、ロジックは粗削りでもいいからハッタリをかましてみようと。
そうなるとキャラクターもちょっと変わってきて、頭が切れるだけじゃなくてゲスさを全面に出すっていう方向に変わっていき、それがどんどん伸びていきました。

――友一は、少年漫画の主人公としては非常に特殊な立ち位置だったと思いますが、佐藤先生はどんなキャラクターだと捉えていたのでしょうか?

佐藤:自分の中の悪を自覚している少年という感じでしょうか。ただ、傷ついていたはずなのに直後に強気になっている、というような二面性の部分についてはよくわかっていなかった。「どちらが本当の友一なんだろう」と思いながら描いていたところはあったんですけど、終盤の展開に衝撃を受けて。あれで合点がいきました。

山口:そこは難しいところで。例えばミステリーで作画の方が最初から全てを知っていると、絶対隙を見せない犯人なのに、どこかしらに隙を描いてしまうこともあるんです。自分としては、それを悟らせないぐらいの作り込みが好きなので。だったら、いっそ何も教えない方がいいのかなと。結果、佐藤先生に「合点がいった」とおっしゃっていただけるところまでできたので、よかったです。

――では佐藤先生は、細かい構成までは聞かずに描かれていたのですか?

佐藤:ふんわりとは聞いていました。

山口:そうですね。ポイントとしてはいくつか伝えていました。

佐藤:ただ、ボスは最後まで知らなかった。

――では、ネームをもらってから驚くこともあったのでしょうか?

佐藤:たくさんありました。

山口:僕が佐藤先生に言われて「そうか……」と思ったのは、第3ゲーム(友情かくれんぼ)で天智が干からびていくシーン。僕としてはギャグイメージだったんですけど、佐藤先生は心を痛めていて。「かわいそう」って、おっしゃっていて。

佐藤:いやいや、けっこう爆笑していましたよ。おにぎりのくだりとか最高でした(笑)。ただ、そこをギャグっぽく描いたら絶対ダメだと思って。

山口:そういうチャカさない作画、真摯さが全部いい方向に出ていたと思います。僕のイメージとズレることがほとんどなくて、嬉しかったですね。

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