うどんがつなぐ学食のおばちゃんと美大生の恋!?妄想広がる年の差の男女の恋の行方【書評】

マンガ

公開日:2025/2/17

©えすとえむ/祥伝社 FEEL COMICS

 恋愛漫画に出てくる食べ物といえば、チョコレートやスイーツなどを想像する方も多いのでは。『うどんの女』(えすとえむ/祥伝社)は、タイトル通りうどんをきっかけに進んでいく年の差恋愛漫画だ。うどんと恋という少しシュールな組み合わせが斬新だが、もどかしい距離感にときめくこと間違いなしの作品になっている。

 村田チカは、バツイチ出戻りの35歳。美大で学食の「うどんのおばちゃん」として働いている。連日94円の素うどんだけを頼む油絵科の21歳男子学生・木野のことが気にかかる。一方の木野も、毎日顔を合わせるチカのことが気になり始める。お互いの名前も知らなかった2人が、校外での会話やうどんを通して徐々に関わりを持ち、自分の気持ちに気がついていく。少し積極的な年上女性と、年下草食男子が織りなすラブコメディだ。

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 想像力が豊かな2人は、妄想の中ではとても積極的。2人乗りをしてみたり、絵のモデルをしたり、相手の服を脱がせたり、下着を想像したり…。はじめはよくあるような妄想だったが、どんどん加速していき、しまいに木野がうどんに性的興奮を覚えるようになる。そんなぶっ飛び具合には、読者も思わず突っ込んでしまうだろう。

そんな2人だが、実際に対面すると上手く会話ができず、その距離はなかなか縮まらない。その距離を如実に表しているのが、木野のチカに対する脳内での呼び名だろう。当初名前も知らなかった際にチカを「うどんの人」と名付けていた木野。その後名前を聞くも名字しか知ることができず、呼び名が「うどん村田」に若干の進化を遂げるのが微笑ましくもじれったい。名前を知るのにも一苦労の2人だったが、油絵科の教授・田中の存在によって関係が急速に進展していく。

 出会いのきっかけがうどん、と聞くとなんだか面白いが、恋の始まりとは往々にして些細で不思議なものかもしれない。2巻以降では、1巻の5年後が描かれ、うどんから始まった2人の恋がどのように進展するのかも楽しみの一つだ。

文=ネゴト / fumi

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