※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2025年3月号からの転載です。

　毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、大西風雅さん。

（取材・文＝倉田モトキ　写真＝TOWA）

「昔から友人たちと喋っていると、『HUNTER×HUNTER』の話題が出てくることが多かったんです。普段、あまりマンガは読まないほうなんですが、気になって試しに手にしてみたら、どハマりしました」

　魅惑的な登場人物たちと、想像を超えてくる物語の面白さ。それが大西さんを夢中にさせた要因だった。

「最初は主人公ゴンの成長を軸にしたバトル作品なのかなと思ってました。でも、展開がどんどん複雑になり、悪役だと思っていたキャラクターの印象が突如変わっていくこともあって。僕が大好きなクロロという人物はいまだに敵か味方か分からない。随所に謎が散りばめられているだけに、想像力を掻き立てられます」

　なかでもお気に入りは、メルエムの生涯を描いたキメラ=アント編。

「メルエムは意に沿わないと部下でも平然と殺す。でも、盲目のコムギと出会い、交流を重ねていくうちに心に変化が現れる。最期は毒によって視力を失い、マンガのコマでは真っ黒な中、2人の会話だけが淡々と続く。その数ページは涙なしでは読めないです。同じ事務所の小島健君はよく友達と電話をしながら、部屋を暗くして、この場面をマネして遊んでるそうなんですが、再現したくなる気持ち、すごく分かります（笑）」

　男女の淡い恋物語を描き、好評を博したドラマ『年下彼氏2』が待望の舞台化。大西さんは、主演の抜擢に驚きを隠せなかったという。

「生の舞台なわけですから、お客様の前で展開していく恋物語に、最初はファンの方がどういうリアクションをするんだろうと不安になりました。ただ、今作には主人公が抱える葛藤や同じアパートに住む男4人の青春群像劇の要素もある。きっと多くの方が共感し、楽しんでもらえるのではないかと思います」

　稽古を前に今気になっているのは、同じ関西ジュニアの面々と繰り広げる4人での掛け合いだそうだ。

「アドリブのシーンがあるのですが、普段から何を考えてるのかあまり分からない3人なんで、めっちゃ怖いですね（笑）。でも、プライベートでも仲のいい4人ですし、いつもの雰囲気を届けていければと思ってます」

　また、「本作には“喜ド哀楽”の全部が詰まっている」と大西さん。

「『ド』は恋のドキドキの『ド』です!　笑えるし、キュンキュンするし、切なさもあり、いろんな要素が満載の物語ですので、それらをしっかり感じてもらえるように、僕らも役者として成長していきたいですね」

ヘアメイク：谷本雄志（JOUER）　スタイリング：井元文子、鼓 裕花　衣装協力：Juun.J （CORONET）、アネモネ（サンポークリエイト）、grün

舞台『年下彼氏〜君のとなりで～』
作：モラル　演出：中屋敷法仁　出演：大西風雅（Lilかんさい）、池川侑希弥（Boys be）、山中一輝（AmBitious）、渡邉大我（関西ジュニア）、小島藤子、庄野﨑謙、宍戸美和公、マギー　2月22日（土）より大阪・福岡・東京にて巡演
●関西ジュニア主演によるドラマ『年下彼氏2』が舞台化。関西の大学に進学したハルト（大西）はアパートでダイキ（池川）、コウ（山中）、ツキヒコ（渡邉）と仲良く共同生活を送る。しかし、管理人の姪で年上のレイ（小島）が現れたことで、同級生の彼らは恋のライバル関係に。