死ぬまでにやりたいこと、やってみた!爆笑、感動、生きづらさを抱えた女性の挑戦の記録【書評】

マンガ

公開日:2025/2/19

 人生で一度はやってみたいことはなんだろうか。バンジージャンプ、世界の果てへの旅、好きなものを思う存分食べる、などなど。何をしたいかを考えるのも、それらを実行していくのもワクワクする。

生きるのがしんどい女が「死ぬまでにやりたいことリスト」を消化していく話』(タワシ/KADOKAWA)は、ある女性が「死ぬまでにやりたいことリスト」を作り、それを実行していく共感&爆笑必至のコミックエッセイ。本作を読めば、きっとあなたも自分のやりたいことリストを作りたくなるはずだ。

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 友達も、帰れる実家も、仕事もない。多和志田たわ子、35歳独身。たわ子は自分が社会の役に立っていないことに苦悩し、死にたい気持ちを抱えていた。どうせいつか死ぬならばと、ある日「今やりたいこと」を書き出して実際にやってみることにする。

 スカイダイビングや断食や滝行など、誰もが気になるようなドキドキの体験。汚すぎる部屋の掃除、ひとりでアフタヌーンティーに出かけるなど、日々気になっていたこまごまとしたこと。たわ子はやりたいことをひとつひとつ消化しながら、自分の抱える生きづらさに向き合っていく。

 たわ子がやりたいことに挑戦していく様子を読んでいるだけで、こちらまで勇気をもらえるから不思議だ。

 日々生きていると、周りと自分を比べて疲れてしまったり、漠然と生きづらさを感じることもある。そんなときは自分の心に正直になるに限る。そのひとつとして、たわ子のようにやりたいことを書き出してみるのは、心身にとって良い影響を与えてくれるのかもしれない。

 作者が各コマに詰め込んだ癖のあるダジャレは、本作のみどころのひとつ。「孟子が2体でもうしにたい」「寝たいやき」など、声に出して読みたくなる絶妙なワードセンス。思わず笑みがこぼれてしまう。本作で描かれる感情は赤裸々で、ややヘビーな部分もあるが、ほのぼのしたダジャレとゆるいイラストのおかげで楽しく読み進めることができる。

 最終章では、やりたいことリストを達成した後の素直な感想や読者へのエールも綴られる。自分の人生を満喫する術を楽しく教えてくれる本作は、困ったときにふと読み返したくなるパワーを秘めた作品だ。

文=ネゴト / fumi

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