夫に女として見てもらいたい… 『ご懐妊!!』最新巻では、恋人期間ゼロで結婚したふたりの距離が急接近!? 甘い新婚生活に胸キュンが止まらない【書評】
PR 公開日:2025/2/22

人生に予期せぬハプニングはつきもの。けれどもそれが、苦手な上司と一夜の関係を持った末での妊娠だとしたら……? 『ご懐妊!!』(真條りの:作画、砂川雨路:原作/スターツ出版)は、想定外の相手との予期せぬ妊娠からスタートするふたりの恋愛模様を、甘やかかつ誠実に描くラブロマンス。リアリティにあふれた描写と、さまざまな困難を乗り越えながら愛を深める男女の姿が魅力の物語だ。
梅原佐波は広告会社でグラフィックデザイナーとして働く27歳。やりがいのある仕事と、雰囲気のよい職場に満足しているものの、仕事に厳しい鬼部長の一色禅に対しては苦手意識を抱いていた。

やがて佐波は一色部長とともに大プロジェクトを任されることに。ハードな仕事を共に乗り越えて迎えたプロジェクトの最終日、重圧から開放されたふたりは打ち上げとしてお酒を飲んで盛り上がる。その勢いで一線を越えてしまうものの、その後はこれまで通り上司と部下として普通に接していた。

ところが、佐波の妊娠が発覚。付き合ってもいない人の子どもを身ごもった佐波は中絶を悩むものの、葛藤の末に産む決意を固める。部長にも妊娠を打ち明けると子どもの責任を取るとプロポーズされ、ふたりは家族としての第一歩を踏み出していくことに――。

授かり婚をすることになった佐波と禅は、以後結婚のために目まぐるしい日々をおくる。両親への挨拶や会社への結婚報告、同居のスタートに結婚式の準備……。妊娠にともなう身体の変化にも振り回されながら、ふたりは家庭を営むよき相棒という信頼関係だけでなく、少しずつ互いへの愛を深めていくのだった。
第4巻の最大の見どころは、佐波のはたらきかけで禅側の家族のわだかまりが解消され、ぐっと距離が縮まったふたりの姿。新婚らしい糖度を増した佐波と禅のじゃれ合いなど、日常のふとした瞬間の愛おしさや幸せな描写に、読者の心もじんわりとあたたかくなるだろう。

恋人期間がないままに家族になったふたりが、出産間近になって持つことができた甘い時間。家族としての絆を超えて愛し合う男女として互いへの思いを確かめ合う瞬間や、ピンチの時に見せる年上の男性としての頼もしさなど、鬼上司だけではない禅のスパダリぶりにもキュンとさせられる。禅のことをどんどん好きになるからこそ、彼に女として見てもらいたい。揺れ動く佐波の思いや健気な姿を応援したくなる、ときめき要素がぎゅっと詰まった1冊だ。

こうした恋愛要素に加えて、出産をめぐる家族のドラマとしても物語は盛り上がりを見せていく。大きなお腹を抱えた佐波は、いよいよ出産という一大イベントに立ち向かうことに。早く子どもに会いたいとはやる気持ちと、出産が思うようにはいかずにやきもきさせられるもどかしさ。父と母として、そして夫婦として、人生の新たなステージを迎える佐波と禅は、どのような顔を見せるのだろうか、要注目だ。

文=嵯峨景子