自由な末娘の振る舞いは芸人級!? 型破りな小学生の娘が家族にもたらす爆笑の日常【書評】
公開日:2025/3/3

子どもと過ごす毎日は、常に予測不能で新鮮なことばかり。日々の成長速度や、子どもならではの視点に驚かされることも多いだろう。『小学生エムモトえむみの勝手きままライフ』(えむふじん/KADOKAWA)は、小学生の娘を中心とした家族の毎日を描いたコミックエッセイ。3児の母である著者が、日常の何気ない面白い出来事をユニークな視点で描いている。読めば、家族の成長と共に心が温まる瞬間が訪れる一冊だ。
エムモト家は個性豊かな5人家族。ツッコミかつ天然ボケの母、常識人だけど時々幼くなる父、ビビりで斜に構えた長男、真面目だが思い込みの激しい長女、そして本作の主人公である小学生の末娘・えむみ。えむみは一家の芸人担当であるほどの自由人。関西弁で繰り出される突飛な発言と予測不能な行動が、一家と読者に笑顔を提供する。
そんなえむみだが、その裏にあるのはピュアすぎる思いやりや強い好奇心。「起こし屋」のエピソードにはそんなえむみの魅力が詰まっている。兄姉が起こしてほしい時間をボードに書くと、えむみは「起こし屋」として大声と指パッチンで起こしてくれる。別部屋の母親も目が覚めるほどの派手な起こし方や、間違えて早起きした日にも謎に兄を叩き起こそうとする奔放さはまさに型破り。だが5時半に起こしてほしいと依頼を受ければ、前日8時台には眠ったり、翌朝は5時に起きて「目覚めの一杯」のココアで自分を整えたり…と、家族を思う徹底ぶりや「起こし屋」としての役に入り切っている姿がなんとも可愛らしいのだ。そんなえむみだからこそ、愛されキャラとして家族や読者の心をぐっと掴むのだろう。
1巻では小学校1~3年生のえむみを描いているが、巻数を追うごとに様々な経験をしながら成長していく姿にも注目したい。2巻では祖母の入院に直面したり、3巻では中学受験に挑戦したり。相変わらずの自由さで目の前のことに真剣に向き合いながら、新しいことにも果敢にチャレンジする姿には読者も背中を押されるだろう。今後もえむみとエムモト家から目が離せない。
文=ネゴト / fumi