転生しても処刑エンド!?超問題児王太子に振り回される純愛コメディ【書評】

マンガ

公開日:2025/3/18

 転生ものやラブコメが好きな読者にぜひおすすめしたい作品、『元・傾国の美女とフラグクラッシャー王太子1 転生しても処刑エンドが回避できません!?』(吾田なぐさ:漫画、瑠美るみ子:原作、深山キリ:キャラクター原案/KADOKAWA)。テンポの良い展開と個性豊かなキャラクターが魅力の笑いと愛に満ちた純愛コメディだ。

 物語は、公爵令嬢アザレアが前世で「国を傾けた皇妃」として無実の罪で処刑され、その記憶を持つ転生者であるところから始まる。前世の記憶から、権力者との関わりを避けたいと願っていた彼女だったが、今世では魔法に秀でた超天才だが常人には理解できない超人的な行動を繰り返す問題児・王太子ロータスの婚約者に選ばれてしまう。

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 ロータスは魔王を修行感覚で倒すなど奇想天外な行動を繰り返す超問題児。国王夫妻でさえ手を焼く彼に、アザレアは振り回されるばかり。しかし、彼のさりげない優しさや、常に笑顔で明るい姿の裏に隠された深い苦悩を知るにつれ、次第にその素顔に惹かれていく。

 一方でロータスも、自分を真正面から叱り、真剣に向き合ってくれるアザレアに心を開いており、二人は次第に互いを支え合う存在となっていく。ロータスの奇想天外な行動に笑いが絶えず、ツッコミが止まらない展開の中に、随所で胸キュンが待っている。

 本作の大きな見どころは、二人の関係の変化と成長にある。最初は相容れないように見える二人が、次第に互いを理解し、支え合う存在となっていく過程が丁寧に描かれており、読者の心を引き込む。

「最初は反発し合いながらも、次第に絆を築いていく」という王道の恋愛ストーリーに、互いの傷を癒し合う要素が加わり、より深みのある物語となっている。読後には爽快感と温かさが残り、次の展開が待ち遠しくなること間違いなし。

 転生ものが好きな人、凸凹コンビのような掛け合いが好きな人、心温まる恋愛物語を楽しみたい人に手に取ってほしい一冊である。

文=ネゴト /すずかん

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