第21回「メダリスト」/鈴原希実のネガティブな性格がちょっとだけ明るくなる本
公開日:2025/2/26

これに対する熱量だけは絶対にだれにも負けない。
そう言い切れるって本当にすごいことだと思います。
今回紹介する『メダリスト』は、スケートに対して並々ならぬ熱量を持つ1人の少女・いのりちゃんを中心とした漫画作品です。
あらすじは、プロスケーターの道を断念したコーチである明浦路司(あけうらじつかさ)が、親に見放されていた少女・結束(ゆいつか)いのりと共にフィギュアスケートの金メダル獲得を目指す物語となっています。
冒頭にお話した通り、いのりちゃんはスケートに対して並々ならぬ熱量を持っています。
元々いのりちゃんは家でも学校でも他の人と同じように上手くできないという思いを抱えており、周りからも「劣等生」の烙印を押されていました。
そのことを不憫に思ったスケートリンクの受付スタッフさんが、「小鳥の餌としてミミズを取ってきてくれる代わりにリンクを使わせる」という条件で、スケートを始めさせてくれたのです。
そんな経緯があり、いのりはどんどん独学でスケートを学びみるみる上達していきました。
唯一嫌なことを忘れて自分のことを認められる瞬間がスケートをしている瞬間だったんです。
私はいのりちゃんが、お母さんに対してどうしてもスケートをやりたいと涙ながらに伝えるシーンが凄く大好きです。
みんなと同じようにできない自分だけど、みんなが出来ないスケートが私はできるって思えた。
でもほんとはただのまねっこでできてない。
できないわからない…わたし何もない。
だからダメじゃない部分がある自分になりたい。
みんなと同じように出来ないのなら、みんなの真似をするんじゃなくて他の子ができないことを頑張りたい。
私にもだれかに負けないくらい好きなことがあるって上手にできることがあるってわたしは恥ずかしくないって思いたいの!
この部分の想いが少しオーディションを受けた際の自分と重なるところがあり、とても胸に刺さりました。
私はいのりちゃんのように、周りの人から見てすごいと思ってもらえる部分はなかったのですが、その作品に対しての想いだけは誰にも負けないという強い気持ちがありました。
そんな当時の想いを鮮明に思い出させてくれるくらい、いのりちゃんのこのシーンは熱くてカッコよくて胸打たれました。
『メダリスト』の最大の魅力はこの吸引力だと私は感じています。
今のいのりちゃんのシーンもそうですが、気づけば自分が物語に没入してその会場にいるかのような感覚になれるほどの吸引力。
それが最近読んだ作品の中でもトップクラスに強いのがこの作品だと思いました。
他にも、フィギュアスケートならではのジャンプの際の緊張感が味わえるところも魅力ですし、追い込まれた時の物の考え方など日常生活にも参考になる部分が多いのではと思います。
今、日々が辛いという方も、この作品を読めば眠っていた想いがもう一度蘇ってくるのではないでしょうか?
本当に素敵な作品なので、ぜひみなさんに手に取っていただきたいです。
