デュエル構成・彦久保雅博と振り返る  オトナも虜にするアニメ「遊☆戯☆王」の世界。その魅力を徹底解剖 【後編】 

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公開日:2025/3/9

※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2025年4月号からの転載です。

 2025年はアニメ「遊☆戯☆王」シリーズが25周年を迎えるアニバーサリーイヤー。ファンならずとも、そのタイトルを耳にしたことがある読者も少なくないだろう。そんなシリーズの始まりは、『週刊少年ジャンプ』で連載中だった高橋和希さんの『遊☆戯☆王』だ。原作では様々なゲームで対戦していく内容が描かれていたが、作中のカードゲームを元にしたトレーディングカードをコナミが発売すると人気が爆発。そのルールに則ったアニメシリーズ『デュエルモンスターズ』の放送がスタートした。

 この『デュエルモンスターズ』は、主人公・武藤遊戯とライバル・海馬瀬人の対決を通して、「カードバトルで語り合う」物語の形を確立。デュエリストたちが信念をかけて戦うドラマが、多くの視聴者を魅了した。以降、『GX』では学園を舞台とした青春もの、『5D’s』ではバイク型のデュエルディスク・D・ホイールに乗って戦う新システム、『ZEXAL』では異世界との繋がり、『ARC‐V』では多次元戦争、『VRAINS』ではAIを扱ったSFとテーマを変えながら物語が紡がれている。そして近年の『SEVENS』『ゴーラッシュ!!』では、自由なデュエルの楽しさを強調した作風となった。

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 そんなシリーズを通して変わらないのは、「デュエルを通して成長する主人公」の姿だ。バトルアニメのアクション描写よろしく、デュエリスト同士の心理戦とカードの展開には手に汗握るものがあり、視聴者は思わず「勝て……!」とキャラクターに感情移入しながら応援してしまうはず。それほど熱い物語がどの作品でも展開されているのだ。

 なお、作品ごとにデュエルの方法は変化。D・ホイールに乗って戦ってみたり(『5D’s』のライディング・デュエル)、VR空間で戦ってみたり(『VRAINS』のスピードデュエル)、時代ごとの技術や価値観を反映させながら表現方法を次々と変化させているのである。もし「昔は観ていたけど卒業してしまった」という方は、近年の作品に触れてみると「そんなことになっていたの!?」と驚くかもしれない。それと同時に、大人でも楽しめる奥深いキャラクター同士の駆け引きや関係に心を奪われるだろう。

 25年も続いているシリーズだけに「もうカードのルールを知らないと入れないんでしょ?」という先入観を抱いている方も少なくないかもしれないが、どの作品からでもその世界に入り込めるのが「遊☆戯☆王」の魅力。過去の名作を追うもよし、過去に観ていた作品を振り返るでもよし。自分にとって「最高のデュエル」を見つけてほしい! そんな今こそ「遊☆戯☆王」シリーズ全8作を、デュエル構成を務めた彦久保雅博さんのコメントとともに振り返ろう!

「まさか25年も続く仕事になるとは思ってもいなかったです」

 シリーズに25年携わり、500戦ものデュエルを考案するなど、まさに「遊☆戯☆王」の生き字引的存在である彦久保さんにお話を伺った。

 彦久保さんがアニメ「遊☆戯☆王」シリーズに加わったのは1999年の末。カードゲーム好きの彦久保さんに対し、原作で描かれたデュエルの内容を既にヒットしていたカードゲームのルールに置き換えるという仕事の白羽の矢が立った。

「職場でカードゲームをやっていたところを、スタッフに見つかって声を掛けられたんですよね。参加したときにはまさか25年も続く仕事になるとは思ってもいなかったです。(『デュエルモンスターズ』における)デュエル設定というのは、原作のエンタメ的な展開はそのままに、カードゲームのルールに則ってデュエルの流れを考える仕事です。最初は原作の内容を洗い出しつつ、その時点で発売されているカードを当てはめてデュエルの中身を考えていきました」

 そこから約4年半が経過し、『デュエルモンスターズ』は放送終了。代わって、オリジナルストーリーとなる『遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX』が開始する。オリジナルストーリーということは、一からデュエルの内容を考える必要があるということ。彦久保さんの仕事も増えることとなった。

「『GX』はデュエリスト育成機関・デュエルアカデミアが舞台なので、登場人物が全員デュエリスト。となると、ほとんどのエピソードでデュエルすることになるんですが、その内容を考えるならデッキの中身まで抑えなければいけません。とはいえ、デッキはデュエリストのアイデンティティにも繋がっているわけで、果たしてキャラクターから作るべきか、デッキから作るべきか、はたまたデュエルから作るべきか悩みに悩んで……。そのときは監督とライター陣、プロデューサーで顔を突き合わせて、様々なことを決めながらデュエルの内容を作っていきました。その過程で融合召喚を提案させていただいた気がします」

 そこから「遊☆戯☆王」シリーズは、作品を経るごとにライディング・デュエルやペンデュラム召喚、ラッシュデュエルなど、様々なシステムが生み出されていく。最も印象深いデュエルについて伺うと?

「『デュエルモンスターズ』の海馬と遊戯がデュエルタワーでデュエルする回です。ライターの吉田伸さんから原作よりも激突を濃密に描きたいというお話があり、オリジナル展開を交えつつ組み立てていったんです。それまでにもオリジナル展開を交えたデュエルは多々ありましたけど、この回はとにかく手応えがあって、その後も続けられるモチベーションの礎になりました」

 放送開始以来、欠かさずデュエルを考え続けていた彦久保さん。25周年を迎えた今、どのような心境なのだろうか?

「シリーズを通して約1200話あるわけなので、単純に考えても500戦くらいデュエルを考えてきたわけですよね。こんなに密なお仕事をさせていただけて、とても嬉しく感じています」

ひこくぼ・まさひろ●ゲームクリエイター。本シリーズには『デュエルモンスターズ』から『ゴーラッシュ!!』まで皆勤。『NARUTO-ナルト-』シリーズでも脚本を務めた。

©スタジオ・ダイス/集英社・テレビ東京・KONAMI

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