声優・津田健次郎インタビュー 祝25周年! オトナも虜にするアニメ「遊☆戯☆王」の世界。その魅力を徹底解剖 【前編】
公開日:2025/3/8
※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2025年4月号からの転載です。
高橋和希さんのマンガから始まったアニメ「遊☆戯☆王」シリーズは、今年で25周年を迎える。熱いデュエルとキャラクターの関係、緻密に構築された世界観など、様々な要素が重なり、世界中の人々を魅了してきた。海馬瀬人役の声優・津田健次郎さん、そしてデュエル構成・彦久保雅博さんのインタビュー、シリーズ紹介で深掘り。あなたを「遊☆戯☆王」の沼へ誘おう。
「海馬はより振り切って演じるよう意識しました」

今や人気声優として引っ張りだこの津田健次郎さんだが、そのキャリアにおいて初めてのメインキャラクターを務めたのが『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』の海馬瀬人だった。
「海馬役に決まるまでは、ゲストとして何話か呼んでいただくくらいのキャラクターしか演じたことがなかったんです。『デュエルモンスターズ』にはとても鍛えられた記憶があります。元々どの役に対しても出し惜しみなくフルスイングするタイプの人間ではあるんですが、海馬がエネルギッシュなキャラクターだったこともあって、より振り切って演じるよう意識しました」
『デュエルモンスターズ』の放送は2000年から約4年半。声優初挑戦となる、主人公・武藤遊戯役の風間俊介さんと共に全力で収録に臨んだ。

「当時は俊介もまだ声優としてテクニカルな部分がなかったですし、僕も同じような気持ちでした。二人とも不器用なりにどのデュエルも熱くやりきることで、外連味を出せたような気がします。そのせいか、デュエルシーンが立て続けに描かれる回の収録だと、スタッフさんから『今日は何デュエル行ける?』なんて確認が来て。僕らの体力をずっと試されていました(笑)」
津田さん演じる海馬といえば、青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)の使い手。特に彼へスポットライトが当たった劇場版『遊☆戯☆王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS』には思い入れもひとしおだ。
「『デュエルモンスターズ』の放送が終了してからも、海馬を演じる機会は度々ありました。ただあるとき、僕の芝居に対して『あれ? 海馬、歳取った?』という意見を耳にしてしまったんですよね。もちろん声質や肉体も年齢を重ねてはいますが、『まだまだいけるわ!』という気持ちがどんどん湧いてきて……。そんなときに映画の話をいただいたものですから、リベンジマッチとばかりに意気込んで収録に向かいました。しかも映画自体が海馬の話で、原作の高橋和希先生自ら筆を執って、想いを込めてくださっていたわけです。もうテレビシリーズを演じたときの気持ちを思い出しながら、それ以上の芝居を見せられるよう全力を尽くしました」

20年以上経ても愛される作品に関わって
それだけテレビシリーズ、劇場版と全力を尽くして演じてきた海馬の一挙手一投足に、心を射抜かれた少年も多かったはずだ。アニメの放送から25年が経過し、当時デュエルに熱中した世代から、津田さんと共に仕事をしている人も出てきた。
「それこそ当時学生だった人が今は社会で活躍されているわけですけど、お会いしたときに『僕もデュエリストでした』なんて声を掛けてくださるんですよ。最近は『遊戯王 デュエルリンクス』のヒットもあってこの世界へ新たに入ってきてくださる方もいて、未だにこの作品が熱く支えられていることを実感します。本当にこの作品がなければ自分もこうやって声優を続けていられたのかも分かりませんしね」
声優人生の半分を海馬とともに歩んできた津田さんにとって、「遊☆戯☆王」という作品はあまりにも大きいはず。あらためて「遊☆戯☆王」に対する想いを伺うと……?
「最初に出演したアニメ作品ではないですけど、僕の声優人生を振り返ったときに、ある種の出発点となった偉大な作品です。海馬を演じたことで、他のバトルものの収録がどれだけやりやすくなったか(笑)。自分で追い込んだせいもありますけど、約4年半、本当にいろいろな経験を積ませていただきました。こうやって今も取材を受けるほど、まだ人気は続いていますし、『遊☆戯☆王ゴーラッシュ!!』までシリーズも25年続いていて……。今でもまた海馬を演じる機会があればいいなと思っています。また、『遊☆戯☆王』と一緒に育ってきた方もたくさんいらっしゃるはずで、もし機会があれば直にその反応を伺いたいですね。国内だけじゃなく海外にまでファンの方がいらっしゃるので、とても幸運な作品になったと思っています」

取材・文=太田祥暉 写真=森山将人
ヘアメイク=ハラタ タケヒコ(Artsy Life) スタイリング=藤長祥平
©スタジオ・ダイス/集英社・テレビ東京・KONAMI
つだ・けんじろう●大阪府生まれ。主な出演作に『呪術廻戦』(七海建人役)、「スター・ウォーズ」シリーズ(カイロ・レン役)など。実写作品にも俳優として出演し、『トリリオンゲーム』にはアニメ版・実写映画版ともに出演。実写出演作として、映画『女神降臨』の公開を控える。2024年には、第53回ベストドレッサー賞芸能部門を受賞。

津田さんが表紙で持った本
『百年の孤独』
ガブリエル・ガルシア=マルケス:著 鼓 直:訳 新潮文庫 1375円(税込)
蜃気楼の村・マコンド。ここには、ホセ・アルカディオ・ブエンディアとウルスラ・イグアランを始祖とするブエンディア一族が暮らしていた。彼らは村を開墾しながら、7世代にわたって愛を育み、血を流し……。初版訳から半世紀を経て、2024年に文庫化されたことでも話題に。
「20代の頃に初めて読んだのですが、とにかく威力が凄まじかったです。最初は南米の価値観にびっくりして、打ちのめされました。読み進めるのにも何日かかったのかな? ただでさえ分厚い本ですし、登場人物名も分かりづらい。それでも読み進めたのは、ブエンディア一家のドラマに心を掴まれたからです。その中でも印象的なのはウルスラの存在ですね。一番長生きなこともありますけど、彼女がいたからこそ、これだけ血が続いていく物語が生まれたわけです。文字を通して、現代を生きていると忘れてしまうような人間が本来持っている原始的な要素を、喉元にしっかりと突きつけてくる凄まじい作品だと思います。一千年も二千年も前ではなく、数百年前まで人類が普通にしていたことであっても、現代の文化とは異なっているためにどこかファンタジーだと思えてしまうような出来事の数々……。今を生きる私たちの価値観を根底から問いかけてくるような、未だに忘れられない一冊です」
※後編のデュエル構成・彦久保雅博さんインタビューは3月9日(日)に配信予定です。