形だけの婚姻から始まる夫婦への道。自己肯定感の低い娘と冷徹で寡黙な皇子が育む不器用な恋【書評】

マンガ

公開日:2025/3/15

 じっくりと育まれるラブストーリーが好きな人に読んでほしい一作『軍神の花嫁』(水芙蓉:著、灰庭ソウスケ:漫画、セカイメグル:キャラクター原案、構成協力:貫井なお/KADOKAWA)。

 美貌の姉と妹に囲まれ、平凡な貴族の娘としてひっそりと生きてきたサクラ。だが、そんな彼女の運命は、ある日突然変わる。軍神と称される皇子・カイの妃として、突如迎えられてしまったのだ。しかし、それは愛を誓うための婚姻ではなく、カイの“破魔の剣”を納める“鞘”としての役割を果たすためだった。自分に自信が持てないサクラと、冷徹で寡黙なカイ。果たして彼らは、本当の「夫婦」になれるのか——?

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 この作品の魅力は、じれったくも愛おしい恋模様だ。自己肯定感が低く、気持ちを素直に表せないサクラ。一方のカイも、サクラへの想いに無自覚で、不器用な言葉で誤解を招いてしまう。そんな二人が少しずつ距離を縮め、本当の夫婦として心を通わせていく過程が、この物語の最大の見どころだろう。

一見冷徹なカイだが、その奥には確かな優しさがある。不器用ながらもサクラへの想いがにじみ出るからこそ、少しずつ彼女を意識し、心を開いていく姿がよりドラマチックに映る。形だけの婚姻だったはずの二人が、本当の夫婦になっていく——。その過程が愛おしく、切なく、胸を締めつけるだろう。

『軍神の花嫁』は、じれったさの中に甘さが溶け込んだ、珠玉のシンデレラロマンスだ。サクラとカイは、真に心を通わせることができるのか。二人の行く末を、その目で見届けてほしい。

文=ネゴト / すずかん

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