吉沢亮主演で実写映画化も話題!450歳の吸血鬼、決死の童貞死守作戦【書評】
公開日:2025/3/19

新感覚のラブコメディとして注目を集める『ババンババンバンバンパイア』(奥嶋ひろまさ/秋田書店)。一度聞いたら忘れられない強烈なタイトルにつられて読み始めたところ、虜になってしまった。読者やアニメ視聴者からは「とにかく笑える」「最高に面白い」と高評価を得ており、ギャグやコメディ好きな方に全力でオススメしたい。2025年1月からアニメが放送され、実写映画も近日公開予定だ。
蘭丸は老舗銭湯でバイトをする450歳の吸血鬼。10年前、道で倒れ死にかけていたところを銭湯の一人息子・李仁くんに助けられた。それ以来、正体を隠し、住み込みで働いている。銭湯で李仁くんと仲睦まじく過ごす蘭丸の狙いは、吸血鬼にとって究極の味である「18歳童貞の血」。大好きな李仁くんを食べる日を楽しみに、彼の純潔を守り続けているのだ。だが高校に入学した李仁くんはクラスメイトの葵ちゃんに恋をしてしまう。蘭丸は李仁くんの童貞を死守するべく、あの手この手で奮闘していく…という物語だ。
銭湯で働くバンパイア、18歳童貞の血…と設定からしてシュールで面白い。加えて各キャラクターの個性も豊かで、皆、行動も奇想天外。主人公の蘭丸は450年という長い時代を生きてきた人物。そのなかで織田信長など様々な歴史上の人物と恋をしてきたため、恋愛経験豊富で美しく優秀だ。だが、李仁くんのことになると少しポンコツになってしまう。妄想力を爆発させ、突飛な行動で彼の童貞を守ろうとする姿が愛おしい。
また、蘭丸をはじめ、どんな出来事も面白がって受け入れる李仁くん一家も大らかすぎてツッコミどころ満載だ。とにかくいい子でウブすぎる李仁くんにもクスッとしてしまう。李仁くんの恋する葵ちゃんも魅力的で、距離が縮まるにつれ、その天然っぷりや猪突猛進さがさらに話を盛り上げていくのだ。
型破りな本作だが、人を好きになる素晴らしさも伝えてくれる。初恋を通して段々と成長していく李仁くんの姿や、吸血鬼である蘭丸が抱える葛藤、様々な人々との絆には心があたたまるだろう。こまやかで耽美な作画とともに描かれる、爆笑必至の人間ドラマをぜひ楽しんでほしい。
文=ネゴト / fumi