胸キュンと怪異が交錯する! 神さまを名乗る美少女と霊感男子の青春奇譚【漫画家インタビュー】

マンガ

公開日:2025/3/13

 最新の書籍や人気の漫画作品の情報を発信する「ダ・ヴィンチWeb」。今SNSを中心に話題を集めているホットな漫画を、作者へのインタビューを交えて紹介する。

 神さま1年目の美少女と陰気な霊感男子が「怪異」と「人間」という壁を越えて関わっていくマンガ「303号室の神さま」をピックアップ。作者のふに・無9(@funi_mu9)さんがX(旧:Twitter)で投稿しているオリジナル作品のまとめツイートには、2.8万以上のいいねが寄せられた。

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 この記事では、ふに・無9さんにインタビューを行い、創作のきっかけやこだわりについて語ってもらった。

青春ラブコメディと不気味な怪異。そのギャップに引き込まれる!

 神さまになって1年目。誰にも見つけてもらえず、ひとりぼっちですごしていた神さま「有鹿(あるか)」を見つけたのは、暗い性格の霊感男子「晃(あきら)」だった。

 その陰気さから怪異に取りつかれやすい体質の晃は、神さまに除霊してもらうことで明るく爽やかな雰囲気を取り戻す。だが、またすぐに元の性格に戻ってしまう。そうしてはじまったふたりの交流は、まるで普通のラブコメディのようで胸キュンが止まらない。しかし、本来交わるべきではない神と人の関わりには、さまざまな壁が立ちはだかりーー。

 神さまと晃が迎えるのはハッピーエンドか、それとも……。青春ラブコメディと不気味な怪異のギャップを楽しみながら、2人の迎える未来を最後まで見届けてもらいたい。

人と神、そして怪異。それぞれの多面性を描く

ーー『303号室の神さま』を創作したきっかけや理由があればお教えください。

『303号室の神さま』に登場する神さまの有鹿は、本作を制作する前に描いた1ページ漫画にて登場した人物です。

 ほんの数ページだけ描かれた人物ではあったのですが、どういった過去があってどのような人物なのかを考える中で、「この子を軸にお話を作りたい」と思ったのが創作のきっかけです。

ーー「ここを見てほしい」というポイントを教えてください。

 キャラクターの有鹿はもともと人間だった神さまです。なので、人らしさと超常的存在である神さまらしさ、両方を感じていただけるよう表情豊かに描いています。その部分を見ていただけたら嬉しいです。

ーー特に気に入っているシーンやセリフはありますか?

 3話目に登場する「参拝作法:二礼、インターホン二回、一礼、お賽銭はポストへ」のシーンですね。

 除霊のお礼に有鹿の家を訪れた晃くんが、部屋の扉に貼られた看板を目にする場面です。本来、神社の参拝作法である「二礼二拍手一礼」の中に、生活感のあるインターホンが入り込む。その対比が生む“人臭さ”が感じられて、特に気に入っているシーンです。

ーーエピソードごとに登場する霊のデザインはどのように考えていますか?

 私は様々な地域の民話を好んで読むのですが、それぞれの民話を想起した際にイメージされたものをデザインに落とし込んでいます。

ーー作品を作るうえで影響を受けたマンガや映画などがあれば教えてください。

『夏目友人帳』です。妖怪が見える高校生と、大妖怪でありながら普段は猫の姿をした用心棒のコンビが織りなす、心温まる物語です。

 人ならざる物たちとの関わり合いは不可思議で面白く、人の日常に溶け込むように妖怪たちは存在するけれど、人ならざる物であるからこその人との交わりきらない関係がとても切なく魅力的です。登場する人間も妖怪もみんな個性豊かで、どこか郷愁を感じられる私の大好きな作品です。

ーー神さまや晃、霊を描く上で、どのようなポイントにこだわっていますか?

 人、神さま、怪異。それぞれの存在には多種多様な側面があります。恐ろしい怪異でも人を襲う理由があったり、神さまでも世俗的であったり、時に人の方が人ならざる怪異よりも恐ろしい一面を持っていたり、と。

 なので、人臭さや超俗的、恐怖、畏怖、を明確に分けないようにそれぞれの存在が読者の印象に残るように描いています。

ーー今後の展望や目標をお教えください。

 私の漫画が一人でも多くの方の生活の楽しみの一部になれるよう、ほんの少しでも日常の中の喜びになれるよう頑張りたいです。

ーー作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。

 いつも私の作品をお読みくださりありがとうございます。皆様が漫画を読んでくださることや漫画に対する様々なお声をくださることが創作の励みになっております。

 これからも、より楽しんでいただけるよう精進しますので、今後ともよろしくお願いいたします。

取材・文=ネゴト / 押入れの人

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