「映画を見ているよう」「鳥肌が止まらない」連続焼死事件に迫る上質クライムサスペンスに絶賛の声!【漫画家インタビュー】
公開日:2025/3/14

最新の書籍や人気の漫画作品の情報を発信する「ダ・ヴィンチWeb」。今SNSを中心に話題を集めているホットな漫画を、作者へのインタビューを交えて紹介する。
ふたりの刑事が謎多き連続焼死事件を捜査するクライムサスペンス『アルシャッドの娘』をピックアップ。X(旧Twitter)に投稿された本作には、1.6万を越すいいねとともに多くの反響コメントが寄せられた。
作者・ONsama(@waiwaiburanko3)さんに創作のきっかけやこだわりについて語ってもらった。
"亜人"の主人公が矛盾する焼死体の謎にせまる
新人の刑事であるアナンは、日々、書類整理に追われていた。この街には犯罪があふれており、事件が起きればそれに対する書類整理の事務が不可欠だ。その上「猫の手も借りたい」と言われ、現場への運転手役もさせられる始末。そうやって日々の業務に忙殺されているアナンは人間ではない。頭の上に大きなネコ科の耳を持った"亜人"と呼ばれる存在なのだ。
赴いた事件現場にあったのは、タバコの火が燃え広がり、そのまま火だるまになって焼死した男性。ところがタバコからの着火と考えるには矛盾する点が多数見られた。しかも署にやってきた国家警察の男によると、他所でも同様に原因不明の焼死事件が起こっているらしい。その男と共闘する形で、アナンは連続焼殺事件の真相を究明していくことになる。『アルシャッドの娘』は、そんな現実とは少し違った世界のクライムサスペンスだ。
「超能力を地味にあつかうこと」を徹底している
ーー『アルシャッドの娘』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
以前からこつこつ創作にトライしてはいたんですが、うまくまとまらず悶々としていました。友人が漫画で賞をとったのを機になぜかスイッチが入り、描きあげることができました。
ーーこだわったところや、「ここを見てほしい」というポイントはありますか?
海外ドラマっぽさですね。1990〜2000年代初頭のアメリカのドラマからインスピレーションを受けているので、随所にそれらしさが出ている気がします。日本の漫画作品で超能力を扱う場合、もっと派手な方向に舵を切ると思うんですが、今回はぐっとこらえて地味にあつかうことを徹底しています。
とはいえ粗削りなので、全ての表現に意図があるわけではありません。四苦八苦しながら、なんとなく成立した……という感じです。なのでストロングポイントはここだ!と言えるほどの自信はありません。ただ「まあ自分は好きかな!」という温度感ではあります。
ーー特に気に入っているシーンやセリフがあれば教えてください。
最後のページです。シリアスなお話の最後をああいった形でしめることで、スッキリ終われた気がします。
ーー先生が亜人だったとしたら、どんな能力や態様を持った亜人になりたいですか?
亜人は本作において圧倒的なマイノリティーです。作中で少し言及していますが、突然現れた異形の人種として様々な偏見を持たれ、相応の歴史があったのだと思います。
主人公のアナン・デューアに対して差別的発言がなされたのは、序盤の「猫の手も借りたい」という一言だけです。作中では差別は控えめにはなっていると見てとれますが、それでも日常に偏見と差別がひそんでいる時代に亜人は生きているのです。あの世界で亜人として生きていくには、小さな、あるいは大きな苦しみが付きまといます。
それに日常生活でもストレスが多いでしょう。なにせ、旧来の人類種と同じ位置に耳が無いこと、尻尾があること、圧倒的なマイノリティーであることから、洋服や眼鏡や帽子やマスクといったあらゆる日用品の選択肢が限られているのです。数の少ない亜人向け商品はニッチな需要ですからね。携帯電話も骨伝導式のものしか使えません。ことあるごとに亜人向けの少ない商品ラインナップから物を選ぶしかないのです。
差別や偏見に加えて、マイノリティーゆえの物質的な気苦労。あの世界で亜人に生まれたとしたら、私の場合は”こういう亜人になりたい”という気持ちよりも、旧来の人類種に対して憧れを抱くのだと思います。
しかし、あの世界で実際に生きているアナン・デューアは人耳が無いことを隠さず髪を結っています。人耳が無いことにコンプレックスを抱かず、抱いていたとしてもはねのけて自分の在りかたを愛せているのです。ああいう人間を見つけられれば、亜人として生まれても、亜人に憧れを持てるのかもしれませんね。
ーー今後の展望や目標はありますか?
描きたいネタがたくさんあるので、ひと通り描くのが今の目標です。
ーー作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。
X(旧Twitter)でも続きを描いてくれという声をいただいたので、やる気がわいて続きを描けています。感謝しています。