シマエナガ×カラス本の同人作家は…メジロ!? テンションぶちあげ、刺激的な鳥類コメディ『永久機関シマエナガ-シマエナガとカラスさん-』【書評】

マンガ

公開日:2025/3/29

 その見た目から「可愛い!」という第一印象を抱かれがちな「シマエナガ」。しかし、日本国内の鉄道を擬人化した漫画『青春鉄道』の作者が手掛ける「永久機関シマエナガ-シマエナガとカラスさん-」シリーズ(青春/KADOKAWA)では、従来のイメージからややかけ離れたシマエナガが主人公として登場する。

 本作に登場するのは、自己肯定感とテンションのメーターが振り切れているシマエナガだ。そんなシマエナガに淡々と切り返すカラスとの、漫才のようなやりとりが笑いを誘う。ハイテンションなシマエナガの言動に動じず、常に向き合っているカラスのキャラクターが実に魅力的だ。時折見せる毒舌やピリつく姿も、作品のスパイスとなっている。

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 他にも、「シマエナガとカラスをモデルにした同人誌」を出すオタクなメジロ…といった癖が強めで個性豊かな鳥類らが登場する。従来の「可愛さ」とは一味違う刺激的な鳥類キャラクターを求める人にはたまらないだろう。

 ちなみにこのメジロ、シリーズ4作目となる『永久機関シマエナガ-シマエナガとカラスさん-よんはいめっ!』にもばっちり登場。推し活の真理を語る姿も拝めるのでぜひお楽しみに。
 本編ではシマエナガが突然「休暇」と称してカラスと沖縄で過ごしてみたり、各キャラのぬいぐるみを撮影し三次元化して漫画化したり、フルカラー漫画になったり、と自由奔放なエピソードがつづく。その自由さが読者の心をつかみ、飽きさせない。

 また、本作を手にした読者の多くは「タイトルの“永久機関”とは何を意味するのか?」と考えながら読み進めていくはずだ。その点についてもきちんと伏線が回収されるので、どうか安心して第1巻を読みきってほしい。

 可愛いだけじゃなく、ユーモアとシュールが共存する「永久機関シマエナガ-シマエナガとカラスさん-」シリーズ。鳥好きはもちろん、正反対なキャラクター同士の掛け合いを楽しみたい人は、ぜひ手にとってみてほしい。

文=ネゴト /

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