自称イクメン夫が妻をイラつかせた発言とは? 「育児のいいとこ取り」をする夫に対し、妻が思うこと。家事や育児、夫婦関係の不満を分かりやすく解説【書評】
公開日:2025/3/28

子育てには、喜びだけでなく多くの悩みや葛藤も伴う。特に家事や育児の負担、夫婦間のすれ違いは、多くの家庭で直面しうる課題である。『白目の館』(白目みさえ)は、そんな日々の苦悩に真正面から向き合い、等身大の姿をリアルに描き出した作品だ。
本作の中心となるのは、家事や育児に追われる日々の中で、少しずつ積み重なっていく夫婦間のすれ違い。思わず「白目」をむいてしまいたくなるような悩みに直面する瞬間は、誰にでも訪れるかもしれない。そんなとき、心の拠り所となる場所が、伝説の相談所“白目の館”である。
館の主であり、心理カウンセラーとして活動する白目みさえ氏は、家庭では年子の母として奮闘する日々を送っている。決して特別な存在ではなく、だからこそ共感できる悩みに真摯に向き合い、自らの経験をもとに親身なアドバイスを届けている。
本作の大きな魅力は、日常に起こりうる悩みを丁寧に描いている点だ。たとえば、イクメンを自称する夫が「世の中の母親がやってることくらい俺でもできる」と言ったことに対し、やってくれるのはありがたいけど、少し違和感を覚える妻。そんな場面で、白目さんは妻の心の中をわかりやすく分析。悩みとさえいうほどではない、普段なら見過ごしてしまう些細なモヤモヤを晴らしてくれるのだ。
夫婦関係のすれ違い、家事や育児の負担、日々積み重なる小さな不満――これらは決して特別なものではなく、多くの人が直面しうる問題である。だからこそ、「自分にも当てはまるかもしれない」と共感できる場面が多く、読む人の心に自然と寄り添ってくれる。
特に印象に残るのは、白目氏の現実的でありながら相手の立場に深く寄り添ったアドバイスだ。「なぜ夫婦はすれ違ってしまうのか」「どうして些細なことで喧嘩に発展してしまうのか」といった「よくあるが解決が難しい問題」に対し、一方的な意見を押し付けるのではなく、現実を見据えた言葉で語られている。その誠実な姿勢が、読者に安心感を与える。
今まさに子育てに奮闘している人はもちろん、これから家庭を築いていく人や、大切な人との関わり方に悩む人にも、ぜひ手に取ってもらいたい。日常の何気ない会話や家事、育児に少しでも理解を深めることで、将来のパートナーとの関係性や親との接し方にも、きっと変化が生まれるはずだ。
悩みを抱えるすべての人に寄り添い、「もう少し肩の力を抜いてみよう」と思わせてくれる。大切な人との距離を、もう一歩近づけてくれる――そんな優しさに満ちた作品である。
文=ネゴト / すずかん