運命の人はすぐそばに! イケメン幼なじみからの突然のプロポーズに翻弄される、激甘ラブロマンス【書評】
PR 公開日:2025/4/3

幼なじみという関係はある種、独特なものだ。幼い頃から互いの成長を見守り、喜びも悲しみも共有してきたふたりの間には、家族とも友人とも違う唯一無二の絆と親密さがある。もし、そんなふたりが何らかのきっかけで恋に落ちたとしたら――。
『幼なじみからの甘すぎる求婚が止まりません』(柚井ふうこ:作画、町野ゆき:原作/スターツ出版)は、幼なじみとして長い年月をともにしてきたふたりが恋人になっていく過程を描いた、至極のラブロマンスだ。

主人公・仁乃は、ごく平凡な高校3年生の女の子。彼女の運命は、18歳の誕生日の前日に大きく動き出す。なんと、顔面国宝級のイケメンで超モテる幼なじみ・壱から突然プロポーズされたのだ。18歳になったら求婚しようと決めていたという彼の真摯なまなざしに、驚きと戸惑いを隠せない仁乃。


しかし、仁乃にとって壱はただの幼なじみ。それ以上でも以下でもない。兄妹のように育ってきた彼の告白を信じられず拒否すると、「恋愛対象になるか実験しよう」と強引に提案されてしまう。
それ以来、彼の独占欲は日に日に強まる一方。ところかまわず抱きついて甘えてきたかと思えば、仁乃をひとりじめしようと策略を巡らせる。優しくて強引、時には危うささえ感じるほどの執拗な溺愛攻撃に、仁乃の心は揺さぶられっぱなし。こうして、超絶イケメンの甘い言葉や独占欲に翻弄される怒涛の日々が、半ば唐突に幕を開けたのだが――。

本作の見どころは、幼なじみ同士の恋愛の複雑さや難しさ、そしてそれにともなう主人公の葛藤がきわめて繊細に描写されている点だ。幼少時からさまざまな経験を共有してきたからこそ生まれる安心感と、その安定した関係が別のものへ変わってしまうことに対する恐怖心のあいだで、仁乃の心は揺れ動く。
幼なじみならではの特別な絆を守りたいと切望する彼女の心情は、それを超えて恋愛関係へと進みたいと願う壱の意志と相反するものなのだ。このふたりの思いの微妙なズレやすれ違いが、物語の展開の一つひとつに大きな緊張感を与えている。

では、幼なじみ同士のふたりが恋愛関係へと進展するきっかけとはどんなものだろうか。本作では、恋のライバルの介入によって壱の大切さを再認識する仁乃の心の揺らぎが、ふたりの関係に変化をもたらす恋のスパイスとして描かれている。
恋愛において、第三者の存在がきっかけで、これまで意識していなかった嫉妬心や独占欲に気づかされることは珍しくない。これまでただの友人だと認識していた相手に対し、他の誰かが関わることで急に別の意識が芽生える。理屈や計算では測れない、まるで魔法のような予測不可能さが、恋愛の面白いところなのだ。

幼なじみ・壱との関係の変化を通して自分自身と向き合う主人公・仁乃の姿は、同じく複雑な恋心に悩む多くの人の共感を呼ぶだろう。
恋をしている最中の心の動きは、まるでジェットコースターのように急展開するもの。嬉しい時は世界がきらきら輝き、つらい時は胸がじくじくと鈍く痛む。何年経っても記憶に深く刻まれるような深い喜びと切なさが交錯する瞬間が、本作の1コマ1コマに溢れている。幼なじみとの恋に憧れる人や、恋愛の甘酸っぱさを堪能したい人にはぜひ読んでほしい。