悪人が次々と消えていくなか、次に消えたのは思いもよらない人物だった【漫画家インタビュー】
公開日:2025/3/31

自身に関するエッセイや、フォロワーの体験談を基に描いた漫画をブログで発表しているしばたまさん。ゆるかわいいタッチながら人間の本性を鋭く突くような作風が注目を集めている。今作は悪人が嫌いな主人公のある願いから巻き起こる、不可思議な出来事を描く。正義とは? 悪とは? 人間が逃れられない本質に迫る作品を生み出した著者のしばたまさんにお話をうかがった。
不幸な事件を取り上げるニュースを目にしたくない主人公は、ある日、神社で犯罪者がいなくなってほしいと祈願する。すると、犯罪者が突然姿を消すという出来事が頻発するように。そんなある日、学校から帰宅すると母親の姿が見当たらなくなっていた。
急展開で先行きがさらに不透明に
――悪いことをしているとは思えない主人公の母親が消えてしまったのには驚きました。
この展開は当初から決めていました。西村の妹との絡みの伏線回収というか、主人公を逆の立場に立たせたかったのです。
――母親がいないことに気づかせる過程として、主人公と彼の妹とのやり取りが繰り返されますが、この場面を見せた理由を教えてください。
なるべく「普段」の風景から母親が消えるという異常事態に展開させたかったので、何も気づいていない妹との日常会話から主人公に気づかせたかったからです。
――母親が消えたことで主人公が悩みますが、作品世界、またはしばたまさん自身にとって悪や悪人の定義、ラインとは?
これは本当に難しいです……。正直、今でも明確な答えは出せていません。このような極端な話を描いた私も誰かにとっての悪かもしれないですし。ただ私個人の中だけでいうと、私の大切な人やものを故意に傷つけた人は悪人です!
暗いニュースが嫌いで、とにかく明るい話題を……と願った主人公の葛藤を描いた本作。悪人がいなくなったら世界はどうなるのか。そもそもどこからが悪といえるのか。ラストまで読むと、そんなことを考えてしまうはずだ。

しばたま
デザイナー&イラストレーター。大人気アイスのパッケージデザインなどを手がける。Instagramでフォロワーさんから体験談を募集し「ゾッとした話」「ほっこりした話」などのマンガを描き、話題に。著書は『1万人がいいね!した 心ゆさぶる本当の話』『身の毛がよだつゾッとした話』。
Instagram:@shibatamaa
X:@shibatamaaaa