マイペースな柴犬に振り回される最高に幸せな日々。温かな色彩で愛犬との日常を描く柴犬コミックエッセイ【書評】

マンガ

公開日:2025/4/12

「柴犬」と聞くと、読者はどんなイメージを抱くだろうか。「飼い主に忠実」「人・犬見知りが激しい」など、思い浮かぶ姿はさまざまだろう。

 柴犬は一般的に「感覚が敏感で警戒心が強い犬種」と言われることが多いが、生き物である以上性格はそれぞれ異なるもの。『柴犬ぽんちゃん、今日もわが道を行く』(犬山スケッチ/KADOKAWA)では、一般的に言われている性格よりものんびり穏やかに生きる柴犬の様子が描かれている。

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 本作品の主人公は、10才の柴犬・ぽんた。通称・ぽんちゃんと親しまれ、著者の犬山スケッチさんとそのご家族から愛情を注がれ暮らしている。本作品はそんなぽんちゃんとの何気ない日々を描いた、柴犬コミックエッセイである。

 ぽんちゃんはマイペースな性格で、雷という天敵以外には、基本穏やかな表情をしている。知らない他人や犬猫と対面しても物怖じせず、堂々とした面持ちで接していく。

 ぽんちゃんは表情豊かな柴犬だが、目を細めて微笑んでいるような表情は、とくに印象的だ。作中ではご家族が帰ってきたり、風を感じたりしたときにその表情を見せてくれる。同じく犬と暮らす筆者も見覚えのあるリラックスした表情であり、「実際のぽんちゃんもこの表情そのままなのだろう」と思いながら、あまりの穏やかさにこちらの心も洗われる。

 幸せそうな微笑みが印象的なぽんちゃんだが、わんぱくな一面も併せ持つ。おろしたての畳をすぐ傷付けたり、大好きな散歩を前に全身で喜びを表現したり、人間には予測できない行動にクスッと笑ってしまう。犬山スケッチさんやそのご家族の反応も相まって、犬と暮らした経験がある人には共感できるエピソードも多いことだろう。

 犬山スケッチさんがSNSに投稿している漫画を書籍化したものだが、書籍には、やわらかな色合いの一枚絵や、描き下ろし長編「ぽんちゃんの大冒険」も収録されている。柴犬愛好家だけではなく、癒しがほしい人にもおすすめの1冊だ。

文=ネゴト / mikasa

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