見知らぬ他人へ寿命をゆずる、わたしの親友。女子高生ふたりが過ごしたかけがえのない日々【書評】

マンガ

公開日:2025/4/20

寿命をゆずる友だちの話。』(マトマ/KADOKAWA)では、人に寿命を渡すことができる女子高生と、そんな彼女を見守る親友の姿が描かれる。

 ヒカリは人の寿命が見え、自分の寿命を相手に渡すことができる特殊能力をもつ女子高生。そんな彼女の周りには、寿命の譲渡を目的に近づいてくる人も多い。ヒカリも相手の顔色をうかがい、やむを得ず寿命を渡してしまうのだった。

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 そんなヒカリに対して、腐れ縁の友達・ミユキは、ヒカリの寿命が減り続ける現状を放っておけず「誰かに寿命渡すのまじでなしね」と訴える。

 他人へ寿命をゆずるヒカリと、ヒカリに生きてほしいミユキ。本作を読んでいると、お互いの想いに心を揺さぶられる。

 ヒカリは「生きたい」と思いながらも「寿命をあげない自分は悪者である」と葛藤し、心身ともに自分をすり減らしてしまう。寿命を渡すと、ヒカリの手は老人のように萎れる。年頃の女の子にとってはとくに辛いことだろう。

 一方でミユキは、一貫してヒカリの寿命はヒカリ自身のものだと鼓舞し、さまざまな場面でヒカリの生きたい気持ちを高めてくれる。しかしときには本心をぶつけ合うなかですれ違うこともあり、読みながらヤキモキしてしまう。

 このふたりを見ていると 、なぜだか大切な人の顔が浮かんでくるから不思議だ。

 ミユキにとってのヒカリのような存在が、あなたにもきっといることだろう。それは友達かもしれないし、家族や恩人かもしれない。

 もしも、そんな大切に思う相手に何かあったら。とりわけ、心身ともに弱っていく様子は見るに堪えないはずだ。「大切なあの人に、いつまでも元気でいてもらいたい」そんな、大切な相手への想いを再確認できる1作でもある。

 どうかヒカリとミユキの眩い日々を見届けてほしい。

文=ネゴト / mikasa

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