人気作続編!猫3匹がいるにぎやかな生活と“命”を拾う責任を描く【書評】
公開日:2025/4/12

漫画家・秀氏と、共に住む2匹の猫、レオ・シロウ。そんなひとりと2匹の生活を描いた『レオとシロウのドタバタ猫日記』刊行からおよそ2年。続編となる『最高カワイイ! 甘えん坊3猫日記』(秀/KADOKAWA)では、新入り猫・スイを含めたひとりと3匹のドタバタ生活が描かれる。
生まれたての状態で野生のカラスに襲われたところを、作者が保護した黒猫・スイ。
飼い主のみならずSNS越しにも大勢の人々に見守られ、スイはすくすくと成長する。今では先住猫2匹もビビるほどの超やんちゃガールに育ち、ますますにぎやかになっているようだ。
前作に引き続きユルいデフォルメで描かれる、3匹それぞれの個性あふれるエピソードには思わず頬が緩む。
レオ・シロウに比べ、スイはまったく物怖じせず初対面の人にも愛想を振り舞くタイプ。
活発な新入りが増えても、ボス感と甘えん坊な一面は変わらないレオ。シロウはスイが近寄ってきてもマイペースは保ちつつ、時たま2匹でイタズラする場面もあって微笑ましい。
そんな彼らのかわいさはもちろんのこと、最新刊ではスイとの出会いを通して生き物の“命”について考えさせられる。
スイとの出会いから垣間見えるのは、野生の子猫が現代社会で生きぬくことの厳しさ。しかし「かわいそう」という感情だけで無責任に命を拾うことはできない。
作中では何気なく描かれているものの、子猫のスイへ1時間おきにミルクを与えなければいけない苦労。猫3匹と暮らすための住居への懸念。
その大変さから、新しい命を迎えるために人間が抱える責任の大きさを感じる。
「それでも3匹を幸せにする」そんな作者の大きな愛を、猫好きな人ほど強く感じるはずだ。
猫を飼うには、大きな責任が伴う。
それは重々承知の上で、本作が「小さな命を救いたい」と思う人の背中を押す存在になることを願う。