逃げたら悪い? アルバイト先の夫婦から受ける善意が重荷になってしまった女性のお話【漫画家インタビュー】

マンガ

公開日:2025/4/24

 イラストレーターや漫画家として活躍するしばたまさん。『しばたまが聞いた! 本当にあったすごい話』は、フォロワーから寄せられた体験談をもとにした漫画で、「感動した!」「怖すぎる……」「スカッとする」と多くの読者の心をつかんでいる。数あるエピソードの中から特に反響の大きかったお話を、その体験談を選んだ理由や初読の感想、漫画の執筆過程で意識した点などを、しばたまさんにお聞きした。

 取り上げるのは、アルバイト先で出会った人から、投稿者にとっては重すぎる善意を向けられてしまった体験談。

advertisement

 歯科衛生士を目指し専門学校に通う女性は、従兄弟から夫婦で経営する歯科医院を紹介してもらい、そこでアルバイトを始める。子どものいない夫婦から娘のように可愛がられるが、次第にアルバイトの後も居残り練習をさせられ負担を感じていく……。

いい人と悪い人の境界線は? 賛否両論になる覚悟をしたラスト

――投稿されたこの体験談を最初に読んだときの感想を教えてください。

このご夫婦みたいなコミュニケーションを平気でしちゃう人いるよな~と思いました。悪気がないのがまた難しいところだな、と。

――親切心や好意から無自覚に相手に努力を求めてしまう、この夫妻のようなタイプは少なからずいると思います。結果的に主人公にとって大きな重荷となりますが、夫婦を“いい人”と感じるように描いた理由はどうしてでしょうか?

投稿者さんの文章も、ご夫婦のことは恨んでいないし悪い人たちだったとは思っていない、自分とは相性が合わなかっただけという書き方をなさっていました。投稿者さんが感じたリアルな思いを反映したかったので、描き方には注意しました。

――夫婦に悪意がないからこそ主人公は悩んでいますが、しばたまさんが同じような状況に置かれたらどうされると思いますか?

責任感が強いと、悩みもそのぶん大きくなってしまうでしょうが、私はそこまで責任感が強い方ではないので、合わないと思ったらすぐに辞めてしまうと思います(良いのか悪いのか……)。

――クライマックスに向けて主人公の心情の変化に共感を覚えましたが、考え方によっては賛否両論がありそうです。発表時の反応や反響はいかがでしたか?

私も賛否両論あるだろうと思っていたのですが、ほとんどが投稿者さんに寄り添う声や共感の声でした。10年前とかにこの漫画を投稿したら反応は変わっていたのかなと、少し興味が湧くような反響でした!

しばたま
デザイナー&イラストレーター。大人気アイスのパッケージデザインなどを手がける。Instagramでフォロワーさんから体験談を募集し「ゾッとした話」「ほっこりした話」などのマンガを描き、話題に。著書は『1万人がいいね!した 心ゆさぶる本当の話』『身の毛がよだつゾッとした話』。

Instagram:@shibatamaa
X:@shibatamaaaa

あわせて読みたい