「まとめてかかってこいやぁ!!!」最恐のヤクザが最強の主夫に。爆笑必至の大人気シリーズ『極主夫道』【書評】
公開日:2025/4/24

『極主夫道』(おおのこうすけ/新潮社)は、かつて裏社会で恐れられた伝説の極道が専業主夫として新たな人生を歩む異色のコメディ漫画だ。
極道漫画のようなシリアスな絵柄と、磨き上げられた家事スキルとのギャップが生み出す独特のユーモアが多くの読者に愛されている。アニメ化・実写化もはたした大人気作品だ。
かつて「不死身の龍」と呼ばれた伝説のヤクザ・龍。そんな過去を持つ龍は、結婚を機に専業主夫になっていた。
可愛らしいエプロンを身につけキャラ弁作りに励み、スーパーの特売日に全力を尽くし、町内会のイベントにも本気で挑む。どんな些細な家事にも全力投球の龍は、その鋭い眼光と威圧感あふれる言動のせいで、周囲に誤解されっぱなし。やがて個性豊かな元舎弟や元ライバルたちまでもが、龍のドタバタ主夫ライフに巻き込まれていく。
近所の人々が龍の迫力に恐怖する一方、龍自身は妻・美久にはまったく敵わず尻に敷かれているのが面白い。美久は天真爛漫な性格ながら、キャリアウーマンとしてバリバリ働き、龍を振り回したり叱ったりできる肝の座った女性だ。そんな美久を支えるべく、時に怒られ凹みながらも、深い愛情を持って主夫業に徹する龍の姿はなんとも微笑ましい。
龍は「最強の主夫」を目指しながら、美久の家族や町内の人々も大切にしている。強面な見た目のせいで誤解されがちだが、実は義理人情に厚く、根はとても優しい男。そんな彼の姿は、読めば読むほど愛らしく、誰もがファンになってしまうだろう。
龍は極道としての過去を捨て、新たな人生で奮闘している。家事に励む姿は少しシュールだが、そこにあるのは美久への確かな愛と責任感だ。
クスッとさせられ型破り、そして思わず癒される最強主夫の日常。ぜひとも味わってみてほしい。
文=ネゴト / fumi