蒲田や川崎は飲むには便利で楽しい街だが、近所ゆえの窮屈さを感じる。
職場の人や知り合いにバッタリ遭遇、或るいは見ず知らずの誰かに素行の悪さを目撃されては都合が悪い。
気持ちよく酔っ払うには生活圏を離れる必要がある。
職場から離れれば離れる程、酩酊具合が元気に増進するという研究結果が報告されているとか、そうでもないとか。

そこで恵比寿や目黒、五反田まで足を運ぶことになる。
恵比寿にはお気に入りのチーズラーメン屋があるし、目黒には中卒DVラーメンが、そして五反田にはアルカサール・ロード、通称パパ活通りがある。
五反田駅西口を出て通りを渡り、線路沿いを2股に分かれた道の左舷を直進。
おいしいハンバーグ牧場(2025年5月現在閉店)までの短い一本道を、私は愛と羨望と幾らかの侮蔑をこめてパパ活通りと呼んでいます。

適当な店で飲んで気持ちよく酔った後は、ぴかつおじ(変態色情親父)とPJちゃん(アバズレ脱税ビッチ)が気まずそうに並んで歩く姿を眺めるのが粋である。
新宿や六本木では味わえない、絶妙な距離感のオッサンとPJちゃんのリアリティは大変に風情があり、時代小説に出てくる出会い茶屋のような情緒がある。
オッサンはPJちゃんが大好きだ、ところが純愛に近づけば近づく程重たくなる。
光の速度に近づけば近づく程物質は重くなるので、オッサンは亜光速で移動している可能性があるな。

恵比寿や銀座の高級店にエスコートする役員クラスの富裕層ぴかつおじ(変態色情親父)やモデルのように容姿端麗なハイエンドPJちゃん(アバズレ脱税ビッチ)を1軍売春野郎共とするなら、五反田を光速で移動する彼らは2軍と言える。
2軍は良い。私は常に2軍であることを心掛けて生きています。

趣味の動画投稿にしても、私が目指すのは一流ではなく二流、優勝ではなく準優勝である。
加えて動画投稿と同じくらい人気投稿者の分析が好きであるから、近いジャンルの投稿者についてあれこれと考察するのも実に楽しい。
近年顔を出して日常を配信するスタイルが増え、私も好んで視聴している。
そのスタイルを外からVLOGという大きな括りで纏めるなら皆同じに見えるが、内側から見るとそうでもない。
男性と女性で視聴者が求めるものが違うし、推され方も飽きられ方も違う。
私は男であるから女性の気持ちはわからぬ、そのため女性配信者を例に述べることを許されたい。

女性配信者と男性配信者で決定的に違うのはコンテンツにおける容姿の占有率と考える。
時代の流れを鑑みてあまりハッキリと書けないが、女性は容姿の割合が男性のそれより高い。
では容姿がよければ人気投稿者になれるのかといふと、そうでもねえんだ。
日常系投稿者が人気になる理由には「憧れ」と「共感」があって、VLOGというジャンルは憧れより共感の伝播によって成り立っていることが多い。
(実は「嫌悪」が一番強いのだけどここでは省く)
絶世の美女の日常チャンネルは羨望の対象になり得るが、それでは共感を集めにくい。
親しみやすい容姿の一般女性のほうが共感されそうだ。
容姿について順列をつけるなどもっての他だが、不都合に蓋をし言葉を狩るだけでは物事の本質は見えてこない。現実に起こっている出来事として、失礼承知で以下を述べる。
絶世の美女を1軍とするなら、親しみやすい一般女性は2軍である。

我々おじさんが観たいのは1軍女性のキラキラした暮らしではなく、2軍女性のリアルな日常であることが多い。
本当に気持ち悪いですね(^_^;) この場を借りてお詫び申し上げますm(_ _)m
おじさん人気の中核はもちろん容姿を含めた総合的コンテンツ力であるが、それと同等かそれ以上に
「俺でもワンチャンいけそうな感じ」が求められる。
このワンチャン感を巧妙に演出する日常VLOGは根強いファン層に支えられ、一見安定しているように見える。
ところが視聴者との距離感のとり方が、U-2ドラゴンレディ着陸レベルで難しい。
近すぎれば大量の気持ち悪いDMが届くし、遠ざけようとパートナーの存在を匂わせようものならすぐに離れて他へ行く。

今年は多くの女性VLOG投稿者達が結婚したり恋人の存在を公言し、泣きながら登録解除したオッサンが大量発生した暗黒の年だった。
大恐慌から難民となった我々は、次のワンチャンいけそうな投稿者を探し荒野を彷徨うカウボーイ。
そしていつしか辿りつく──我々は2軍ですらなかったという真実に。

(追記)
結局のところ日常系VLOGは容姿をコンテンツとしない配信が最も強いと考える。
同性の視聴者はめったなことでは離れないからです。
顔出ししないビジホ宿泊記とか、エロで釣らない飲み歩きOLチャンネルとか、気持ち悪い3軍おじさんが作業着のまま飯食ってる動画とかがこのジャンルの模範囚のように思う。