「人間ッ愚かッ!」ネコ様に振り回される飼い主(下僕)の毎日を描いた、笑って癒される猫漫画『今日もネコ様の圧が強い』【書評】

マンガ

公開日:2025/5/2

 自由気まま、ツンデレ、そしてちょっぴりシュール。そんな“ネコ様”との日常を描いた、『今日もネコ様の圧が強い』(うぐいす歌子/KADOKAWA)。

 猫と暮らしている人には「あるある!」と刺さり、猫を飼っていない人にも“猫との生活”をリアルに想像させてくれる、ユーモアと愛しさに満ちた作品だ。

advertisement

 登場するのは、超マイペースで我が道をゆく2匹の猫・キジネコ様とクロネコ様。そして、そんなネコ様たちに日々振り回されながらも、愛情たっぷりに仕えている飼い主の金之助とスミレ。

 ネコ様たちにとって人間はもはや“下僕”でしかなく、「人間ッ愚かッ!」「『様』をつけて呼べ」といった強気なセリフも、作品の魅力のひとつとなっている。

 リアルなタッチで描かれた猫の姿と、“猫中心的”なセリフのシュールさとのギャップは本作ならでは。ツンとすましたかと思えば突然理不尽に起こされ、甘えてきたかと思えばすぐに距離を取る――そんな気まぐれなネコ様たちに振り回されながらも、どうしようもなく愛してしまう飼い主たちの姿が、コミカルに描かれる。

 人間と猫の間に生まれるすれ違いが、ユーモラスかつ温かく描かれているのも本作の特徴だ。

 たとえば、ネコ様が“感謝の気持ち”として飼い主の枕元にゴキブリを置く一幕。人間にとっては悲鳴モノの行動も、ネコ様にとってはれっきとしたプレゼント。飼い主がそれを捨てると、「なぜ食べない!!」と怒るネコ様の姿には思わず笑ってしまう。こうしたすれ違いこそ、猫との暮らしの難しさであり、同時に面白さでもある。

 また、ネコ様たちは“絶対的な存在”としての自覚(?)が強く、「今日おやつ食べてなくね?」と無言の圧を飼い主に送りつけてくることも。

「今日の分はもう食べたよ」と諭されても、「俺が“食べてない”と言ったら食べてないんだ」とばかりに押し通す理不尽さ。しかし、その圧すらどこか愛おしく、憎めない。猫を飼っていない人は「猫と暮らすってこういうこと?」と興味をかき立てられるはず。

 ユーモア、鋭い観察眼、そして猫愛がぎゅっと詰まった本作。猫好きはもちろん、日々の暮らしにちょっとした癒しと笑いを求めている人にも、ぜひ手に取ってほしい1冊だ。

文=ネゴト / すずかん

あわせて読みたい