容姿端麗な幼なじみの無自覚エロに振り回される…! 愛が重すぎて“湿度高め”な相思相愛ラブコメ【書評】

マンガ

公開日:2025/5/17

 依存という言葉は否定的な印象を伴うことが多い。だが相思相愛のふたりによるお互いを守るための依存関係はどうだろうか。『みことちゃんは嫌われたくない!』(Pt/KADOKAWA)の主人公たちはまさにそんな関係にある。彼らの不安定さは隠せないが、それでも寄り添い生きる姿に心を奪われてしまうのである。

 容姿端麗でスタイル抜群、何をしても一番のみことと、幼なじみ・たかせ。かつて明るく活発だったみことは、たかせにとって太陽のような存在だった。しかしふたりの関係は中学時代を境に大きく変わり、高校生になったみことは、たかせに嫌われることを極度に恐れるようになる。愛が重すぎて幼なじみに依存するみこと。一方で、ずっとみことを愛しながらも、中学時の事件を引きずり素直になれないたかせ。このふたりの関係を、物語内の登場人物たちも、そして読者も応援せずにはいられなくなるのだ。

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 互いへの想いが深すぎるふたりの様子は実に微笑ましい。たかせに嫌われることを恐れすぎて、周りの女子にヤキモチを焼いたり、たかせが望むことはなんでも叶えたいと暴走してしまうみこと。そんな彼女に振り回されっぱなしのたかせだが、過去の罪悪感を脇に置いても、みことが可愛くて仕方ないのだった。24時間体制でみことの愛を受け止めるたかせの懐の深さもこの作品の見所のひとつである。
 
 定番のラブコメとは一味違う「キュン」を求める人にぜひおすすめしたい。おうちデートをしたり遊園地に行ったり、パッと見は普通のカップルのようだがふたりの間に流れる空気には、独特の湿度がある。みことの性格を変えてしまった事件は、決して些細な出来事ではない。人生が変わってしまうほどの傷を負ったみことだが、たかせと過ごす時間に見せる幸せそうな表情や、彼女なりの「好き」の表現法にキュンとせずにはいられないのだ。ふたりが罪悪感や痛みを乗り越え、どのように距離を縮めていき幸福を掴むのか、その過程から目が離せない。

文=ネゴト / くるみ

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