原作はキンプリ永瀬廉主演で映画化! 一大ブームを巻き起こした純愛物語「よめぼく」が繊細かつ瑞々しいタッチでコミカライズ【書評】
公開日:2025/5/15

『余命一年と宣告された僕が、余命半年の君と出会った話』(森田碧:原作、沖野れん:漫画/KADOKAWA)は、2021年に刊行され、10代の間で爆発的なヒットとなった森田碧氏による同名小説が原作だ。2024年には「King & Prince」永瀬廉主演で映画化もはたしている。
「よめぼく」の愛称で親しまれる本作の主人公は、心臓に腫瘍を抱えた男子高校生・早坂秋人。余命わずか1年と診断され生きることに希望を失っていた彼だったが、ある日病院の中でひとりの少女と出会う。
絵を描くことを共通点として少女・桜井春奈と仲良くなった秋人だが、春奈自身の口から、彼女の余命がわずか半年しかないことを明かされる。残り少ない時間の中、ふたりは短い人生をどう歩んでいくのか――惹かれ合うふたりの生き様に、多くの人が涙した名作だ。
原作が10代の読者を中心に多くの支持を得たのは、やはり物語の主人公たる秋人と春奈ふたりの生きる姿や価値観が、非常に等身大で共感しやすいものだったのが理由のひとつだろう。
とくに主人公・秋人の学校生活は、良い意味で誰もが身に覚えのある光景で溢れており、同年代の読者にとって没入ポイントにもなったはずだ。
加えてコミカライズ版の強力な持ち味は、物語の臨場感を細部までよりわかりやすく肉付けしている点にある。漫画を担当した沖野れん氏は、瑞々しく繊細さのある絵のタッチが大きな魅力の漫画家だ。切なさの溢れる高校生ふたりの青春・恋愛群像劇を描くのにぴったりだと感じた人も多いだろう。
本作を読めば、ありふれた日常がとても愛おしく、そして尊いものだと改めて気づかされるはず。
現代の若い感性に多大な影響を与えた純愛物語を、ぜひコミカライズ版から触れてみるのはいかがだろうか。