男子校だってバレンタインは盛り上がる!男子高校生たちのあるあるを描いた『男子校の生態』【書評】

マンガ

公開日:2025/5/22

 男女共学校と女子校・男子校で、実は環境や文化が大きく違う。大人になってから、そんな話をよく聞く。

 SNSを中心に人気を集めるエッセイコミック『男子校の生態』(コンテくん/KADOKAWA)は、作者自身が中高6年間通っていた男子校の独特なエピソードが詰まった1冊だ。男ばかりの男子校の内情は、「意外とそんな感じなんだ」と思う一面も多い。作者・コンテくんのゆるっとしたタッチで描かれた、どこかシュールかつ微笑ましい男子校生たちの知られざる生態が好評を博し、作品は2025年3月に第3巻が刊行となっている。

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 さまざまな形で、男子校で育った男の子たちの日常が描かれる。日々の授業や部活動はもちろんだが、当然学校行事や年中行事もひたすら男だけで楽しむ彼ら。体育祭やマラソン大会、あるいはバレンタインデーだって、男子校生にとっても立派に楽しむべきイベントの一つである。

 異性の目を気にせず一致団結し、イベントや行事には全力投球。筆者も、そういった学生時代の思い出を男子校や女子校の出身者から「あるある」として聞いたことがある。同じような環境下で学生時代を送った人にとっては、「あるある!」「わかる~!」という共感を伴って読める部分もきっと多いはず。だが、本作はそれだけでなく、大人になった多くの人が、忙しい毎日の中で忘れてしまいそうなワクワク感も思い出させてくれる。

 せっかくの学校行事を普段なら絶対に許されない派手髪で満喫したり、授業中には真面目な顔でウィットに富んだ下ネタ交じりの講義に向き合ったり、一見くだらないと思うことにもいい意味で小学生のように全力投球したり。エッセイからは作者を始めとした男子校生たちが、全力で学生時代を謳歌する様子がダイレクトに伝わってくる。そのワクワク感に「なんだか楽しそう」と、こちらも物語を読んで楽しい気持ちにさせられるのだろう。

 タイトルの通り彼らの生態に興味を持つ人のみならず、忙しない日々の中で、なんとなく日々に物足りなさを感じている人にもおすすめの本作。ぜひ一度手に取って、男子校生のユルくかつ全力投球の愉快な日々を覗いてみれば、きっと元気をもらえるはずだ。

文=ネゴト/ 曽我美なつめ

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