ちょっぴりSの獣人と鈍感令嬢のやり取りがかわいい! 虐げられていた令嬢が幸せを掴むまで【書評】

マンガ

PR 公開日:2025/5/14

冷酷な狼皇帝の契約花嫁〜「お前は家族じゃない」と捨てられた令嬢が、獣人国で愛されて幸せになるまで~ナナキハル:作画、百門一新:原作/スターツ出版

 多くの人気ファンタジー作品を生み出している作家・百門一新氏の小説を原作にしたマンガ『冷酷な狼皇帝の契約花嫁〜「お前は家族じゃない」と捨てられた令嬢が、獣人国で愛されて幸せになるまで~』(ナナキハル:作画、百門一新:原作/スターツ出版)の第1巻が発売されました。獣人との恋愛をテーマに、キュンの詰まった作品です。

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 “金”を宿す者は魔力を持つとして忌み嫌われる国で、金色の髪をもって生まれたサラ。両親から疎まれ、姉妹からはこき使われ18年間を過ごしていました。この国では20歳になったら親の許可がなくても働けるようになる。「あと2年したらここを出て自由に暮らす」という気持ちを胸に、サラは日々を耐え忍んできました。

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しかし姉の嫌がらせで獣人皇国との国境、人外種族と未知の動物が暮らしている森に置き去りにされてしまいます。その上何者かに連れ去られ、牢屋に入れられ売り飛ばされそうになります。

 そこへやってきたのが騎士団の男性。

サラを捕らえた男はその姿を見ただけで逃げ出そうとします。何やら高貴な身なりのその男性は悪人から「冷酷と言われるだけある」「逆らったらどんな目に遭うか…」と恐れられるほどの気迫の持ち主。しかし生き抜く決意をしたサラは怯えながらもその男性に「生きたいだけなんです」と気持ちを奮い立たせて伝えます。すると男性はサラの話を聞いてくれることに。

 この男性、実は獣人国の皇帝。そして皇帝はサラの話を聞いた後、「この国でお前が生きられる方法が一つだけある。俺の伴侶になることだ」とサラを抱き寄せて――。

 一目見ただけでサラのことが気になったカイル。彼女となんとか接点を持ちたくて「伴侶にならないか」と打診したのですが、その気持ちをサラには伝えず、あくまで周囲を納得させるための結婚だと伝えます。普段は冷酷と恐れられるカイルですが、サラへの態度はまったく別。そのギャップが激しい愛情は読者視点ではだだ漏れなのに、サラはまったく気付かず。そんなふたりのかわいいやり取りも本作の魅力です。

 侍女になったサラの様子を度々見に来るカイル。突然声をかけて驚かせるなど、その態度はちょっとS。「好きな子をからかいたい」というような少年さあふれるカイルのSっ気はキュンキュンすること間違いなしです。

 サラは何事にも素直で一生懸命な女性。もともと獣人は野蛮で凶暴だと教えられてきたのでカイルに会ったときは恐怖を感じますが、誤解であることがわかると素直に考えを改めます。自分が見た目で判断して迫害されていたこともあり、獣人だからと態度を変えないのもカイルがサラに惹かれた理由でしょう。人間の国では貴族だったことを隠してもあふれ出る気品があり、獣人の国ではみんなに愛されて生きているのは読者も嬉しくなります。

 獣人の国には“運命のつがい”が存在するという言い伝えがあること。獣人は伴侶を見つけないと衰弱してしまうこと。獣人には発情期があること……など1巻にはこの先の展開が楽しみになる設定がたくさん。これからもかわいいふたりのやり取りが見られること間違いなしです!
 
文=原智香

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