鬼上司の「不意打ちな優しさ」が心臓に悪すぎる! クール男子と不器用女子の両片思いなオフィスラブ漫画『営業部の高杉さんは心臓に悪い』【書評】

マンガ

公開日:2025/5/20

営業部の高杉さんは心臓に悪い 2巻eruko/白泉社

 仕事はできるがポーカーフェイスで厳しい上司の高杉さんと、平凡で不器用な事務の堤さんの、両片思いなむずきゅんオフィスラブ漫画『営業部の高杉さんは心臓に悪い』(eruko/白泉社)の紙コミックス第2巻が5月20日に発売された。当作品は「マンガPark」で連載中で、その人気の高さから今年の3月19日にファン待望の紙版として第1巻が発売された。今回はそれに続く最新刊だ。

 主人公の堤さんは、商社事務4年目。終身雇用を魅力に感じて入社を決めたが、他の営業マンの無茶ぶりをハッキリ断れなかったりと、気の弱い一面がある。

 一方で堤さんの上司・高杉さんは物事をハッキリと言う性格。堤さんの職場に転属してきて1週間ですでに上司相手に強い口調で問い詰め、同僚にも厳しく指摘するなど、すっかり職場の空気も張りつめてしまうように。

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 そんな正反対の二人だが、たまたま発生したサシ飲み(高杉さんが職場の人を誘ったものの、みんなから断られてしまったらしい)により、堤さんは高杉さんの知らなかった一面に気づくことになる。

 普段のクールな高杉さんからは想像しえない発言がサラッと出てきたり、妙に距離が近かったり、実は自分のことをよく見てくれていたり。この日を境に、堤さんと高杉さんはどんどん距離を縮めていくことになる。

 やっぱりこの作品の見どころといえば、明らかに両思いなのにお互いに無自覚な初々しさだ。そして、高杉さんの、自覚的なのか? 無自覚なのか? 罪な男ムーブも最高で、読んでいる側も堤さんと一緒に赤面しながら翻弄されてしまう。

 ほんの些細なスキンシップにも舞い上がってしまう堤さん。そりゃ、意外と優しくてイケメンで最近やけに気になる上司にこんなことされたら冷静じゃいられなくなるに決まっている。

 発売された最新刊である第2巻でも、高杉さんの無自覚にドキドキさせる言動は健在だ。というか、むしろ加速しているかもしれない。

 はたから見たら、これで付き合ってないの!? とびっくりしてしまうくらい距離の近い二人だが、そのくっつきそうでくっつかない今が一番ドキドキするというか、ずっとこの、もだもだと近づいたり離れたりしている二人を見ていたいと思ってしまう。自撮りするために近寄っただけなのに、肩があたった瞬間、びっくりするくらい胸がドキドキしたり、もしかしてこの気持ちって! と自覚した瞬間に世界がまぶしく感じたり、そういう初々しい恋心がオフィスラブとして読めるのもまた良い。とはいえ、同じ職場で働く二人ということで、そう簡単には踏み込めなかったり、気持ちに蓋をしようとしてしまったり、社会人ならではの恋の難しさもある。

 果たしてこの二人がこれからどう距離を縮めていくのか、先が気になる。

 ちなみに、高杉さん役のボイスを島﨑信長さんが担当したボイス入りPVやショート動画も公開中なのでこちらも要チェックだ。島﨑さんの声が、あのクールでちょっとだけ可愛さの滲む高杉さんにピッタリで、作品の再現度も高く、キュンキュンのシーンをより臨場感をもって楽しむことができる。島﨑さんファンはもちろん、この作品が気になっている人も、高杉さんの心臓に悪い発言の数々を楽しんでほしい。

文=園田もなか


【CV:島﨑信長】営業部の高杉さんは心臓に悪い【ボイスPV】

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