「私のことはママって呼んでね」時代錯誤な“勘違いヤバ義母”との壮絶バトル『義母はもう一度ママになりたいらしい 優しい義母のウラの顔』【書評】

マンガ

公開日:2025/5/22

 世代間の意識差により生じやすい嫁姑問題は、多くの既婚女性の悩みの種だ。育った環境の違いから生じる価値観のズレは、話し合いや理解を試みても簡単には解消しないことが多いもの。そして、義母の価値観が自分とまったく異なる場合、日常的な関わりそのものが大きなストレスになりかねない。

 そんなストレスにさらされた女性が主役の作品が『義母はもう一度ママになりたいらしい 優しい義母のウラの顔 』(リアコミ :原作、rummy:漫画/KADOKAWA)だ。

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 主人公・まいこは、保育園に通う息子を育てながら、仕事と家庭を両立しようと奮闘する主婦。ようやく仕事復帰を果たした矢先、義母が家事を手伝うという名目で頻繁に訪れるようになる。しかし、息子が嫌いな料理ばかり作ったり、「そろそろ次(2人目)も」とプレッシャーを与える発言を繰り返したりする彼女のふるまいに、まいこの心理的負担は増えるばかり。

「保育園に預けるより親が育てるべき」「家事は妻の役割」といった古い価値観を持つ義母
の圧力に、まいこはしだいに追い詰められていく。どんな局面でも義母の擁護に徹する夫は、こんなときにまったく頼りにならない。家庭内のストレスは日に日に深刻化し、ついに大事件が巻き起こる――。

 義母や夫との関係に対し葛藤や迷いを抱えるまいこの姿は、世代を超えた多くの女性たちの共感を呼ぶだろう。

 当たり前だが、まったく同じ価値観を持つ人間など存在しない。世代が異なればなおさら、互いの主義主張に隔たりが生まれることは避けられないだろう。良好な関係を築く上で不可欠なのは、こうした違いを前提に、適切な距離を保ちながら相手の考えを尊重することだ。
 
 はたして、まいこと義母は無事にコミュニケーションを重ねられるようになるのだろうか。家族間での対立や価値観の違いに悩んだことがある人には、ぜひ手に取ってほしい作品だ。

文=ネゴト / 糸野旬

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