ゴロゴロし放題の夫。そのくせ「家事ぐらいちゃんとやってくれ」だと? そんなモラハラ夫を成敗したのは…みんなのリアルな悩みをコミック化!【書評】

マンガ

公開日:2025/5/24

 言葉や態度によって相手を否定し、自尊心を奪い、自信を喪失させるモラルハラスメント(以下、モラハラ)やマウンティング行為(以下、マウント)は、精神的な支配やコントロールの一種だ。こうした行為は、表面的には暴力や罵声を伴わないため見過ごされがちだが、受ける側にとっては立派な暴力なのである。

モラハラ男、マウント女 完全懲罰ファイル』(さとうもえ:脚色、松本麻希:漫画、北海道テレビ放送「みんなの!もやズバッ」取材班:協力/KADOKAWA)は、そんなモラハラやマウントに関する事例をまとめたコミック。北海道テレビ『イチオシ!!』の大人気コーナー「みんなの!もやズバッ」にて募集した、他人には言いづらいリアルな悩みをまとめた1冊だ。

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 本作の見どころは、モラハラやマウントに類される出来事やエピソードの数々が、年齢や性別を問わないさまざまな立場の人の視点から多角的に描かれている点だ。

 たとえば、共働きであるにもかかわらず家事や育児を当然のように妻に任せ、自分は一切協力しようとしない夫。なにげない会話に見せかけて、ブランドの服や子どもの成績などをこれ見よがしにひけらかすママ友。

 彼らに共通するのは、相手の負担や心のダメージにはまったくの無頓着であることだろう。自分の価値観や感情ばかりを優先する一方で、自分が不快に感じたことには敏感に反応し過剰に主張するのが、モラハラやマウントの加害者の特徴なのだ。

 そして、そんなモラハラ・マウント加害者たちが最終的に過ちを認めて反省するスッキリ爽快な展開も、本作の魅力のひとつ。現実世界では、理不尽な態度や巧妙な言葉の暴力にさらされても反論できなかったり、声を上げにくかったりする場面が少なくない。そんな苦しい現実を生きる読者にとって、不条理に立ち向かい、自分の尊厳を取り戻していく登場人物たちの姿は大きな励ましになるだろう。

 モラハラやマウントに悩む人にこそ、ぜひ手に取っていただきたい。

文=ネゴト / 糸野旬

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