「もうちょっと人間らしく扱って」ニンゲンがペットとして飼育される世界を描くうえで苦労したこと【著者インタビュー】

マンガ

公開日:2025/6/13

 人間が“飼われる側”になる世界を描いた『ニンゲンの飼い方』(ぴえ太/KADOKAWA)。ある日、異世界に転生した人間の前に現れたのは自分より遥かに大きく、手にはトゲ、大きな口には牙のある得体の知れない魔人。恐怖を感じた人間は怯え、隠れ続けるが魔人は危害を加えるどころか人間の住環境を整えるのに腐心している様子で……。

 魔人や魔獣たちの唯一無二のキャラクターデザインと独特の世界観、なにより作品全体を包む温かな雰囲気が人気の本作。植物や小さな生物までオリジナリティが光る本作はどのようにして生まれたのか? 作者のぴえ太さんに話を聞いた。

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――作品全体を振り返って、一番大変だったことはなんでしょうか?

ぴえ太さん(以下、ぴえ太):塩梅を考えることですね。特に、この世界だと人間はペットの位置だけどしっかりペット扱いするよりか人間らしい要素を取り入れた方がいいんじゃないか……という塩梅を考えるのが難しかったです。犬猫、鳥の飼育方法を参考にはしましたが、そのまま適用するとまた違うのかなと思ったり。

――具体的にはどういったところですか?

ぴえ太:例えば遊んであげるとしても、人間だったら頭を使った遊び、神経衰弱とかそういったものもできるな……と思うのですが、そこを追求して複雑にしていくのも作品の世界観とは違っていくし。かといってまったくそれを考えないのもリアリティに欠けていくよね……と悩んだりしました。

――それはどう解決していったんですか?

ぴえ太:都度都度、担当編集さんと話し合っていきました。その中で覚えているのが、担当さんが「もうちょっと人間らしく扱ってあげてください」と言ったことです。それを聞いて、やっぱり尊厳は大事にしないといけないなと。例えばトイレひとつとっても、人間ってだだっ広い広場で「ここにしていいよ」と言われても抵抗があるじゃないですか。あとはプライベートを守るための空間も必要だなとか。そういうところを最初の段階からいろいろと考えてアイディアを出してくださっていたので、そこは絶対に守るべき点だなっていうのはずっとお話させていただいていました。

取材・文=原智香

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