寿司屋で食べ残したシャリを寄せ集めて、食べろと言う姑。四六時中嫁をいびり続ける義母から学んだこと【著者インタビュー】

マンガ

公開日:2025/6/23

 自身が受けた姑からの壮絶な嫁いびりの記録を「毎日が発見ネット」で連載していたかづさん。その連載が好評を博し、漫画化されたのが「義母クエスト」シリーズです。年上男性・秋彦さんから強く求婚され、結婚を決めたかづさん。しかし秋彦さんの母は結婚に猛反対。秋彦さんは母親よりかづさんを選ぶと言い、両親と縁を切って結婚。ふたりは幸せな夫婦生活を送るはずが……。

 義母のかづさんへの想像を超える嫁いびりの数々と、かづさんのへこたれない不屈の精神が見どころの『義母クエスト 〜結婚したらいきなりラスボス戦でした〜』『義母クエストリターンズ 〜ヤバすぎる義母との負けられない30年戦争〜』(ともにかづ:原案、赤星たみこ:漫画/KADOKAWA)。当時のリアルな心境から後に認知症となった義母とのその後、自身も義母となった現在の生活まで、原作者のかづさんに伺いました。

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――漫画化されたエピソード以外で、お姑さんの印象に残っているエピソードがありましたら教えてください。

かづさん(以下、かづ):外食に連れて行ってはくれても私だけ注文させてもらえず、子どもや義父母の食べ残しを食べろと言われたりしました。義父が注文した握り寿司のネタだけを酒の肴で食べてしまい、義母が残ったシャリを器に寄せ集めて「これでお茶漬けでもし!」と言うんです。義父がネタを半分かじってシャリの上にのせたり、義父や義母が口に入れた箸でシャリを掴んだ物をです。一切手を付けずに何も食べなかったのがまた気に食わなかったのか、ずっと睨みつけられていました。

 ある時は義母がお友達とお出掛けの帰りに来て、お土産と言ってビニール袋に入った物をくれたんです。中にはキャベツの千切りにまみれた豚カツの切れ端が数個。義母に電話をして聞くと「今日おいしい豚カツ屋に行ったんやけど皆1人前が食べられへんで、残りを寄せ集めてワンちゃんにあげるって持って帰って来たんよ。あんたがひとりで食べなさいね」と言われました。こんなことは無数にありましたが、食べ物での嫌がらせは特に人として問題を感じましたね。

――お姑さんの意外な一面、優しさを感じた時などはありましたか?

かづ:一度もないですね。阪神淡路大震災が起こった時私の実家も被災したんですが、義母が「あんたの実家は大丈夫?」と聞いてきて。心配してくれたんだと思って「学校に避難して大丈夫です」と言うと「あー良かった! 嫁に出た娘のところに手ぶらで来るなんて恥ずかしいことはできんわな」と。この人はやっぱりこんな人だと思いましたね。当時は買い物に行くとどこもかしこも被災者の方々が買い出しに来ていて、売り場は売り切れ状態。義母がそれを見て「こんなところまで買い出しに来て。こっちは二次災害や!」と言ったのを聞いて、心の底まで鬼だと思いました。

――改めて振り返って、かづさんにとってお姑さんはどんな存在ですか?

かづ:姑としてだけでなく、人として言ってはならないことややってはいけないことは何なのかを勉強させてもらいました。釣りが趣味だった義父母はしょっちゅう釣りに行っては魚を持って帰ってくるんです。それも10センチにも満たない雑魚を百匹も(笑)。魚をおろす腕が上がりましたし、何を食べても「口に合わない!」と言うので料理の腕も上がるしバリエーションも広がりました。認知症になってから「あんたの料理は何食べても美味しい。小料理屋でもすればいいのに」と言われて、本当は美味しいと思ってくれていたんだなと気づきました。夫である義父のことも息子や孫のことも忘れても、最後まで私のことだけはわかっていて、最後にお世話になった施設では私の自慢をしていたそうです。「もっと元気な頃にこんな関係ができていたら、義母にも義父にも幸せな老後を過ごさせてあげられたのに」と思いました。

取材・文=原智香

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