ラスボス級の義母との戦いを終えた“元・いびられ嫁”。同じように嫁姑問題に悩む人へメッセージ【著者インタビュー】
公開日:2025/6/24

自身が受けた姑からの壮絶な嫁いびりの記録を「毎日が発見ネット」で連載していたかづさん。その連載が好評を博し、漫画化されたのが「義母クエスト」シリーズです。年上男性・秋彦さんから強く求婚され、結婚を決めたかづさん。しかし秋彦さんの母は結婚に猛反対。秋彦さんは母親よりかづさんを選ぶと言い、両親と縁を切って結婚。ふたりは幸せな夫婦生活を送るはずが……。
義母のかづさんへの想像を超える嫁いびりの数々と、かづさんのへこたれない不屈の精神が見どころの『義母クエスト 〜結婚したらいきなりラスボス戦でした〜』『義母クエストリターンズ 〜ヤバすぎる義母との負けられない30年戦争〜』(ともにかづ:原案、赤星たみこ:漫画/KADOKAWA)。当時のリアルな心境から後に認知症となった義母とのその後、自身も義母となった現在の生活まで、原作者のかづさんに伺いました。
――今、振り返って「離婚しておけばよかった」と思いますか? それとも「離婚しなくてよかった」でしょうか?
かづさん(以下、かづ):離婚しなくてよかったと思いますね。そう言うと「やっぱり夫のことを愛しているから?」と思われるかも知れませんが、それはさておいて(笑)。今現在、孫が「じぃじ♪ ばぁば♪」と言って嬉しそうにしているのを見ると、祖父母揃っていてよかったなとは思います。義母の介護が始まってから、もう自分の後ろ盾はないとわかった夫は憑き物が落ちたようになったんです。とはいえまだまだ私に怒鳴りつけられるし、反省もありません。でもこんな男を息子の父親にしてしまった責任として、最後まで面倒を見ようと思っています。だって、私が捨てたら絶対に息子夫婦に泣きついてすがり付きますから。
――今も嫁姑問題で悩まれている方は多くいます。世のお嫁さんたちに、アドバイスをお願いします。
かづ:まず、基本はご夫婦で解決するものだと思います。義両親との関係なんて、夫婦が上手くいってさえいれば二の次三の次で良いんです。そして嫁であろうが姑であろうが、もうこれは相性と言う以外ありません。とんでもない姑もいれば、とんでもない嫁もいるのは事実です。耐えられない時は距離を置くことが一番だと思いますが、それも個人の問題とすることなく夫婦の問題として取り組むべきだと思いますね。
それに私は離婚をしていませんが、決して離婚否定派ではありません。まだまだ支援が足りないと言われていますが、昔と比べると今は色々な支援もありますし、離婚するハードルが低くなっているとも言えます。でも万が一その選択をする際にも自分を成長させることが大事だと思います。ゲームでも武器が木の棒や鍋の蓋のままではすぐにモンスターにやられてしまうので、武器や装備を固めて魔法を覚えてレベルアップしていきますでしょ? 『義母クエスト』はそんなところから付けていただいたタイトルです。婚姻継続にしても離婚を選択するにしても、必ずや身につけたものは自分の武器になりますから、成長していただきたいと思いますね。
――令和の今、姑の立場で嫁姑問題に悩まれている方も多くいるようです。姑の立場からもアドバイスをいただきたいです。
かづ:見聞きする嫁姑問題に関して、あくまでも私の個人的な気持ちになりますが、なぜあれほど義両親が干渉してきたのか理解できません。私なんてラスボス級の義母との生活が終わったんですから、もう誰かに干渉され生きるのは金輪際御免です。それに私は“個の自立”が基本だと思っていて。それぞれの“個”が自立している中での“持ちつ持たれつ”が理想だと思っています。私はこの歳でもひとりで食事をしに店に入れるし、旅行にも映画にもショッピングにも行けます。驚くことに「ひとりで行けない」と言う方は多いのです。今お友達がたくさんいらっしゃったり、集える場所があることはとても良いことですが、年を重ねるにつれてやっぱりそういう場は減っていくものです。姑だけでなく、これから老後を迎える方はぜひとも“ひとり遊び”ができるようになると、もっと人生を楽しめると思いますよ。
取材・文=原智香