コスメで溢れる洗面所、外出前はファッションショー…『うちの3姉妹』続編、成人しても“おっぺけ”ぶりは全開&パワーアップ!【書評】
公開日:2025/6/28

漫画家・松本ぷりっつ氏が描く、三姉妹との“おっぺけ”な日常。シリーズ累計460万部を超え、アニメ化やゲーム化でも話題となった『うちの3姉妹』(主婦の友社)の続編にあたるのが、本作『うちはおっぺけ 3姉妹といっしょ』(竹書房)である。
最新10巻では、かつて赤ちゃんだった三女・チーが大学生に。長女・フーと次女・スーも社会人となり、それぞれが自分の道を歩んでいるものの、相変わらずの“おっぺけ”ぶりと仲の良さは健在である。
脳内120%メルヘンな長女・フー、自由気ままなマイペースの次女・スー、生まれながらの社長気質を持つ三女・チー。性格も行動も三者三様ながら、絶妙な掛け合いと息の合ったテンポで、読者を自然と笑顔にしてくれる。
こんな女子が3人そろえば家の中は大混乱。洗面所は爆買いしたコスメで埋まったり、長女・フーによる外出前のファッションショーが繰り広げられたりするなど、女の子を育てたことのある人なら思わず頷いてしまう共感度の高い日常の様子が次々と描かれる。
「もしインターネット黎明期に戻ったら?」という妄想トークでは、会話の内容こそ大人びてきたものの、根っこの“おっぺけ”ぶりは全く変わらない。そんな「さすが三姉妹!」と思わず吹き出してしまうエピソードが満載だ。
さらに、愛犬と3匹の猫たちも加わったことでさらににぎやかに。言い間違いや勘違い、くだらないことで笑い合う、そんな家族の空気感がたまらなく愛おしい。
『うちの3姉妹』で時が止まっていた読者にとっては、姉妹の成長ぶりに驚くかもしれない。しかし、連載を追い続けてきたファンには、まるで自分の子どもの成長を見守るような感慨があるはずだ。
この3姉妹って、こんなににぎやかで、楽しくて、ほのぼのする存在だったのか。育児エッセイとして始まった本シリーズは、3姉妹が全員成人した今、子育てが終わったあとの家族の楽しさを描く、ユニークなファミリーエッセイとなって新たな魅力を放っている。
文=ネゴト /すずかん