国宝級クールイケメンと前向き女子高生との恋の行方は? 最悪な出会いから始まったふたりがだんだん近づいていく姿にトキメキが止まらない!『恋するリップ・ティント』【書評】
PR 公開日:2025/6/25

自分磨きを始めたその日、特別な出会いが待っていた。廊下でぶつかったのは超イケメンの先輩。だけど、その先輩は女嫌いで知られていて……。そんな王道少女マンガが『恋するリップ・ティント』(楠なな/集英社)。恋もメイクも経験ゼロの女子高生と、クールなイケメン先輩の胸キュンラブストーリーだ。
主人公は高校1年生の都本あこ(つもとあこ)。メイクの練習を始めた彼女がリップを厚塗りしたまま校内を歩いていると、超絶イケメンの先輩・愛川遥巳(あいかわはるみ)とぶつかり、服にキスマークをつけてしまった。だが、遥巳は怒ることもなく「その服いらないから捨てておいて」とその場で服を脱ぎ、冷徹に言い放つ。あこの親友によれば、遥巳はSNSのヘアカット動画で100万回再生されるほど人気があるが、大の女嫌いで、近づいてくる女子はみんなバイ菌扱いなのだという。ショックを受けるあこだが、その後、遥巳が他校の女子生徒に盗撮されている現場を目撃し……。
まず、作画がきめ細かく本当に美しい。センター分けのさらさらヘアー、そして射抜くような視線でこちら見つめる遥巳の表紙にうっとりさせられ、作中では「国宝級」とまでいわれている彼のイケメンぶりにすぐノックアウトされてしまうだろう。
そして、そんな遥巳と関わることになる主人公・あこがとにかく真っ直ぐな子で推せるのだ。最初あこは遥巳のことを怖いとさえ感じていた。近寄ってくる女子たちに冷たく接する姿も目撃し、「人の気持ちも物も大事にできない人」と思っていた。だが、どうして遥巳がそんな行動をとるのか、その理由を知りたいと思い始め、遥巳の優しい一面を知る。
そこからのあこの行動力がすごい。大声で「先輩と友達になりたいです!」とみんなの前で宣言し、本当に友達になってしまうのだ。だが、ずっと遥巳のことを追いかけてきた人たちからすれば面白くない。やがて、あこは女の先輩たちから嫌がらせを受ける。しかし、あこからすればそんなのはへっちゃらだ。嫌がらせをする人たちに告げた、あこのセリフには誰もがハッとさせられるに違いない。こんなに純粋に物事を見られる子がいるだなんて。どんなことが起きても怖くない。いつだって前向きな彼女の姿に驚かされ、困難にどう立ち向かっていくのか楽しみでたまらなくなる。第2巻では、その女の先輩たちと体育祭のリレーで対決することになるのだが、あこはどんな戦いをみせるのだろうか。
天真爛漫で、いつだって素直。そして健気で頑張り屋。そんなあこによって、次第に遥巳も変わり始める。離れたり近づいたりを繰り返すふたりの距離は、この先どうなっていくのか。
高校生活のありふれた日常を切り取った場面はどれも身近なのに、どの場面もキラキラしていて心をキュンキュンさせてくる。あの頃に戻って青春したい!と思わずにはいられなくなる作品だ。
文=アサトーミナミ
