三人称・鉄塔となつめさんちがハマった『都市伝説解体センター』。3人が考える、都市伝説の怖さと面白さとは?【インタビュー】

ダ・ヴィンチ 今月号のコンテンツから

公開日:2025/6/25

※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2025年7月号からの転載です。

実況者が語る『都市伝説解体センター』の魅力を解体!

あのゲーム実況YouTuberも『都市伝説解体センター』の虜に! いち早くこのゲームにハマった鉄塔さん、なつめさんちの二組が語る同作の、そして都市伝説の魅力とは。

◎鉄塔

現代的な視点で都市伝説を解体。今までにない作品

「レトロなテレビゲームのようなドット絵ですが、キャラクター造形や色づかい、音楽はスタイリッシュ。懐かしさと新しさが気持ちよく組み合わさっていますし、キャッチーですよね。シナリオは突拍子もないけれど、個性的なキャラクターたちがグイグイと引っ張っていってくれる。いや、面白かったです」

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 『都市伝説解体センター』の魅力をそう振り返る鉄塔さんは誰でもクリアできる難易度でありながら、プレイヤー次第で幅広い楽しみ方ができる点も高く評価している。

「難度の高い推理ゲームは行き詰まって先に進めなくなることもありますが、このゲームは基本的に詰まることがなく、必ず最後まで到達できます。普段ゲームをプレイしない人にとっては安心ですよね。僕の場合、各話でロジックを組み立てる前に、自分なりの答えを見つけておきたいタイプ。すべてを解き明かすことはできなくても、正解の入り口くらいには立っていたいんです。調査をしながら、ゆっくりじっくり自分の答えを考えながら楽しみました」

 「賽助」名義で、作家としても活動する鉄塔さん。物語の作り手視点から見た、このゲームの面白さとは?

「京極夏彦さんは、妖怪にまつわる事件を解体し、謎を解き明かす作品を書いていますよね。このゲームでは、それを都市伝説で行っているのが面白いところ。現代的な視点で都市伝説の構造を分解し、さらにSNSを組み合わせている。今までにない作品だなと思います」

 人はなぜ都市伝説に惹かれるのか。その心理については、次のように分析する。

「昔話には教訓めいたものがありますが、都市伝説にはそういうものがありませんよね。だから理不尽だし、余計に怖い。しかも、いつか自分に降りかかるかもしれない身近さがあるんです。その辺を歩いていたら出くわしそうな、日常の延長線上に不思議が潜んでいる。だからこそ、あり得ないと思いつつ惹かれてしまうのかもしれません」

てっとう●ゲーム実況グループ「三人称」メンバー。「賽助」名義で小説、エッセイも執筆。著書に『はるなつふゆと七福神』『君と夏が、鉄塔の上』『今日もぼっちです。』など。現在『週刊ファミ通』でコラム「三人称・鉄塔の昨日もゲームしてました」を隔週連載中。

◎なつめさんち

ハッタリのきいたラストの演出に大興奮!

「最初は、ゲーム実況チャンネルでリスナーさんとわいわいプレイしようと思っていたんです。でも、試しに少しだけプレイしたら、止まらなくなって……」

 そう話すのは、夫のげんさん。タイトル発表当初から発売を待ちわび、リリース後まもなくクリアしたという。

「プレイ時間も、長すぎず短すぎず。仕事終わりにご褒美ドリンク片手にプレイできますよね。ただ、気づいたら深夜、なんてこともありそうですけど(笑)」(さやさん)

 ラストの展開を予想しながらプレイするのが、ふたりの楽しみ方。なんと、衝撃のラストも見事に言い当てたそう。

「予想は当たりましたが、演出が予想以上のかっこよさ。ハッタリのきいた映像と音楽で、想像をはるかに上回るエンディングになっていて、ふたりで大興奮しました」(げんさん)

 エンディングを迎えてもなお、考察の余地があるのもこのゲームの面白さ。

「演出にノックアウトされつつも、『でもちょっと待って、あれは何だったんだ……?』という余韻も残るので、考察好きにはたまりません。個人的には、ぜひダウンロードコンテンツで〝エピソード0〟を描いてほしいです」(げんさん)

 シナリオだけでなく、グラフィックも見どころのひとつ。絵師として活躍するふたりから見た、このゲームのアートワークの魅力とは?

「この色調のドット絵だけで、すぐに『都市伝説解体センター』だとわかります。ファンアートも描きやすいし、だからこそSNSでも盛り上がったんじゃないでしょうか」(げんさん)

 ふたりが都市伝説に求めるのは〝刺激〟。

「隠されると暴きたくなるのが人の心理。怖いけれど、夢もありますよね」(さやさん)

「魔法が使えると言われても嘘だと思いますが、『この路地を曲がった先に、ある時間だけ開く店がある』と言われたらちょっと信じてみたくなりませんか? 身近にありそうな不思議を想像して、日々の生活に刺激を求めているのかも。みんな日常に退屈しているのかもしれないですね」(げんさん)

なつめさんち●夫のげん、妻のさやによるお絵描き夫婦YouTuber。ゲーム実況も人気。著書に『それでも、やっぱり絵が描きたい!~なつめさんちのななころびやおき~』など。

取材・文=野本由起