ミニマリスト男子とグッズまみれ女子。価値観の違いを乗り越えるコツはイチャラブタイム? 胸キュン必至の同棲ラブコメ【書評】
公開日:2025/6/26

『ミニマリスト彼氏とオタク彼女の同棲戦争』(ミラ:原作、イズミりん:作画/KADOKAWA)は、価値観のズレに日々ぶつかりながらも、なんだかんだで愛を深めていくカップルの、笑ってときめく同棲ラブコメだ。
登場するのは、モノを極限まで減らしたいミニマリスト男子・大ちゃんと、推し活に命を懸けるオタク女子・オタ子。必要最低限の暮らしを理想とする彼と、グッズに囲まれた空間が落ち着く彼女。そんな“水と油”のようなふたりが、ひとつ屋根の下で生活を始めてしまったから、さあ大変!
お風呂場やリビング、果てはキッチンまで、オタ子の“推し”たちが次々に生活空間を侵食。そのたびに大ちゃんの「捨てたい精神」が暴走し、部屋の中では「それは捨てる」「いや、捨てない!」のバトルが勃発!
そんな日々の小競り合いの中でも、ふたりがうまくやっていけているのは、お互いを理解しようとする気持ちがあるからだろう。譲れないこだわりを抱えながらも、相手の価値観を否定することなく、歩み寄ろうとする姿勢が丁寧に描かれている。
結婚前に同棲を選ぶカップルは珍しくない。生活スタイルや価値観の違いを知ったうえで、ふたりの将来をどうするか判断する。一方で、価値観の違いを乗り越えられず、別れを選ぶ同棲カップルが多いのも事実だ。だからこそ本作は、ただのラブコメを超えて、「違いをどう乗り越えるか」という現代的かつ普遍的なテーマに迫った作品だといえる。
“捨て活”も“推し活”も、自分らしく生きるための大切な手段。ぶつかりながらも、相手の大切なものを知り、受け入れていこうとする姿勢が、ふたりの関係を少しずつ深めていく。そんなリアルとロマンが絶妙に絡み合った本作は、恋愛に悩むすべての人にきっと刺さるはず。
笑って、キュンとして、ちょっぴり考えさせられる。『ミニマリスト彼氏とオタク彼女の同棲戦争』は、正反対の価値観を持つふたりが歩み寄る中で見えてくる、“他者を受け入れること”のリアルな学びにあふれた作品だ。