義兄の膝に突然座る、お子様ランチを注文…“幼くてかわいいワタシ”を異常アピールする女子大生の裏に隠された背景とは?【書評】

マンガ

公開日:2025/6/29

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 人気者になりたい。注目を浴びたい。誰かに愛されたい。いわゆる承認欲求というものは、誰もが大なり小なり抱えているものだ。

 だがそんな承認欲求がエスカレートすると、人は時にとんでもない道を歩むことになる。『ちっちゃくてかわいいワタシ 痛すぎる勘違い女の正体』(ぱん田ぱん太/KADOKAWA)は、そんな承認欲求を拗らせた一人の女性の衝撃的な行く末を描いたマンガである。

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 中心人物である“みゆ”は、とにかく「幼くてかわいいワタシ」アピールに余念がない大学生。初対面の義理の兄の膝に突然座ったり、気に入らないことがあるとまるで小学生のようにみっともなく駄々をこねたり……。みゆと付き合い始めた風太郎や、風太郎の姉・きよかは、そんな彼女に事あるごとに振り回されていた。

 みゆの振る舞いは、風太郎やその家族の前だけではない。大学の友人の前でも、カフェのイケメン店員に突然抱きつくなど非常識すぎる振る舞いを見せる。なぜ彼女はそこまで極端に「幼くてかわいいワタシ」をアピールするのか。その背景には、実はある驚きの秘密があった――。

 多くの読者が、物語を追っているとトラブルメーカーであるみゆの行動と存在を疎ましく、そしてだんだん疑問を持つようになるはずだ。そして最後に彼女が抱えていた事情を知ると、これまで必死に周囲の注目を集めようとしていたみゆの印象が少し変わるかもしれない。

 見ていてモヤモヤする理不尽な出来事、思わずイラっとさせられる人。それらをスッキリ解決する、いわゆる勧善懲悪的なストーリーではない本作。ゆるい絵柄に反して一筋縄ではいかない内容というギャップもこの作品の大きな魅力である。

文=ネゴト/ 曽我美なつめ

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