心霊スポット巡りが大好きな男性客が心を浄化するためと耳かき専門店に来店。彼が語った恐怖体験に背筋が凍る…【漫画家インタビュー】
公開日:2025/7/4

耳かき専門店での勤務経験をオリジナル漫画にしてSNSで発信する森民つかさ(@uouououoza1)さん。自己否定という“沼”にハマってしまっている漫画家志望の主人公が耳かき専門店で働き始め、さまざまな境遇の客たちとの交流を通じて自己否定と向き合う姿と、知られざる耳かき専門店の知られざる裏側を描いた『耳かき専門店で働いて自己否定“沼”から抜け出す話』。著者である森民さんにお話をうかがった。
漫画家を目指して、自己否定の“沼”と戦いながら「耳かき専門店」で働く主人公。心霊スポット巡りにハマったという男性客が来店し、「ヤバい目にあった」と話し出したのは、何とも言えない不思議な体験で……。
お客さんとの会話のほとんどは他愛もない内容。でもたまに…
――心霊スポット巡りにハマったお客さんのエピソードはゾッとしましたが、このほかにも怖いけど続きを聞かなければ……となったことはありますか?
ありますねぇ。遺品整理のお仕事を10年以上されているお客さんで、「当時は気づかなかったけど、今振り返るとオレ仕事中に幽霊と会っていたみたいでさ……」というお話を聞いたときは、耳を塞ぎたくなりました。
でも怖さより好奇心の方が勝つので、続きを聞いちゃうんですけどね(笑)。
――この作品はお客さんとのコミュニケーションをもとにされていますが、構成を決める過程で大切にしていることはどんな点ですか?
「どんなお客さんが来るの?」と聞かれることが多いので、その辺ですれ違うような普通の人が大半だよと伝えたい意図もあり、お客さんに親近感を持ってもらえるよう意識して描いていました。
あとは人見知りしないお喋り好きなお客さんと雑談することで底辺だったコミュ力がマシなレベルまで鍛えられたところもあるので、そこもなんとなく感じとってもらえたらいいなと思いながら描いていました。
――心霊スポット巡りにハマった男性の体験談は、実に不思議な内容でした。ところで、お客さんとの会話が漫画化に至る割合はどれくらいなのでしょうか?
1割未満でしょうか。ほとんどは何の変哲もない世間話をなごやかにお喋りする感じでしたね。
最近ハマっているアニメ、最近観た映画、最近行ったお店、観光地、展示会やイベント、休みの日は何しているか、最近あったうれしかったこと、落ち込んだこと、今日この店を出たあとどこへ行く予定かなど、私自身はこういう日常的な会話に癒やされていましたが、漫画化するとなると地味なので、あまり採用には至らなかったですね。
やる気はあっても自己否定感に悩まされてしまう。そんな自分との向き合い方を実体験ベースに描いた本作。客や同僚など、自分と同じように自己否定感に苦しむ人との交流で得たものとは。耳かき専門店の裏側と併せて、森民さんの変化をご覧いただきたい。