彼氏にとって私はグチをぶつけるサンドバックのような存在? 自らの恋愛を客観視することの難しさ【漫画家インタビュー】

マンガ

公開日:2025/7/8

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 耳かき専門店での勤務経験をオリジナル漫画にしてSNSで発信する森民つかさ(@uouououoza1)さん。自己否定という“沼”にハマってしまっている漫画家志望の主人公が耳かき専門店で働き始め、さまざまな境遇の客たちとの交流を通じて自己否定と向き合う姿と、知られざる耳かき専門店の知られざる裏側を描いた『耳かき専門店で働いて自己否定“沼”から抜け出す話』。著者である森民さんにお話をうかがった。

 漫画家としてうまくいかず、「耳かき専門店」で働くも、自己否定“沼”の深みからなかなか抜け出せない主人公。ある雨の日に来店したのは、静かで無口そうな男性客だったが、「先週失恋した」という彼の言葉を皮切りに、互いの恋愛トークになる。

自分のことしか言わない彼氏との盲目的な恋愛

――自分のことしか話さない森民さんの彼氏さんに対して、なかなか手厳しいことをそのお客さんは言いましたが、それを聞いた時どんなことを思いましたか。

個人的には私がお客さんに何かを与えるよりも、お客さんからいろんな学びをもらっていたなぁと思うことが多くて、その中でも「あなたのその行動は自分を大切にできていないよ」と直接的に教えてくれたお客さんに救われることもあったので、その一例を描くことができてよかったです。

――恋愛に関する内容や考察は考えさせられました。反響はどうでしたか?

「あの彼氏さんとそんな不毛な恋愛していたとは知らなかった。ビックリしたよ」と言ってくれる友人が何人かいました(笑)。

盲目的な恋愛の真っ最中って細かい不満をわざわざ周りに喋らなかったりするので……。ほんとに当時、盲目に恋をしていたんだな~と改めて思いました。

――では、森民さんにとって“理想”の恋愛とは?

ん~……どうなんですかね(笑)。

幸せな恋愛というのをいまだに経験したことがないのでよく分からないのですが……。最近は「一緒に人生を旅する同志」みたいな関係が理想だなぁと思うようになりました。親友でもあり恋人でもあり伴侶でもある。そんな友人夫婦を見ていると素敵だなぁと思ったりします。

恋愛とか夫婦とかパートナーシップって「ずっと一緒にいる」ことがゴールじゃなくて、お互いが自分らしくいられるような形を探し続けること、選び続けることが大事なんだと思います。

 やる気はあっても自己否定感に悩まされてしまう。そんな自分との向き合い方を実体験ベースに描いた本作。客や同僚など、自分と同じように自己否定感に苦しむ人との交流で得たものとは。耳かき専門店の裏側と併せて、森民さんの変化をご覧いただきたい。

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