熟年離婚を決断した女性から聞いた「割れ窓理論」とは? ストレスを溜めず自分を大切に生きる方法【漫画家インタビュー】
公開日:2025/7/9

耳かき専門店での勤務経験をオリジナル漫画にしてSNSで発信する森民つかさ(@uouououoza1)さん。自己否定という“沼”にハマってしまっている漫画家志望の主人公が耳かき専門店で働き始め、さまざまな境遇の客たちとの交流を通じて自己否定と向き合う姿と、知られざる耳かき専門店の知られざる裏側を描いた『耳かき専門店で働いて自己否定“沼”から抜け出す話』。著者である森民さんにお話をうかがった。
漫画家志望の主人公は、自己否定の“沼”と格闘する日々を送りながら「耳かき専門店」で働く。行きつけの整体院で肩こりや腰痛の原因の一つに精神的なストレスを指摘されるも心当たりがない。その後、耳かき専門店に熟年離婚した女性が来店し、彼女との会話を通じて自分を大切にしてくれない彼氏のことが頭に浮かび……。
耳かき専門店の経験だけでなく自身の恋愛も赤裸々に
――他人の耳かきは怖いという人がやり方を知りたくて来店していますが、ほかにも珍しい要望はありましたか?
要望ではないかもですが、「元々人に耳かきをしてあげるのが好きで、普段は自分の子どもによく膝枕耳かきをしてあげているのだけど、たまに自分も他人に耳かきをしてもらいたくなるから来ている」という男性のお客さんが割といらっしゃって驚きました。
「子どもの耳かきをしてあげたい」と思うお父さんって、なんだかあったかくて素敵だなぁと感じていましたね。
――熟年離婚した女性客が「割れ窓理論」を対人関係に応用して話す内容がありますが、お客さんとの会話でハッとさせられた経験はありますか?
「私、自己肯定感が低いのが悩みなんですよね~」とお客さんに話したときに、「僕はおそらく小さい頃から自己肯定感が高い人間なんだけど、仕事で自己肯定感が低い部下を面倒見るときに苦労したよ。全然気持ちを分かってあげられなくてね。結果、メンタルやられている状態の部下をさらに追いつめてしまった。ついてきてくれる部下がいなくなって左遷させられたこともある。自己肯定感が高すぎるのも問題だなと痛感したよ。きっと君が上司なら僕みたいなヘマはしなかっただろうね」と言われたことがあって、いろいろと考えさせられました。
――主人公がお客さんとの会話をきっかけに、恋人に別れを切り出す様子も描かれていますが、彼氏からの一言は衝撃でした。どのようなことを考えて描かれたのでしょうか?
「私は誰かのド●えもんじゃねーから!!」と改めて思いながら描いていましたね(笑)。
自分の不毛なダメ恋愛なんか恥ずかしすぎて漫画で晒したくはなかったのですが、「きっと同じような自己犠牲の恋愛している人、たくさんいるだろうな」と耳かき店で働いて思い知らされたので、「どうして自分は良い恋愛ができないんだろう?」と悩んでいる方たちに反面教師として届けられたら、私のダメ恋愛も報われるであろう……と言い聞かせて描いていました。
やる気はあっても自己否定感に悩まされてしまう。そんな自分との向き合い方を実体験ベースに描いた本作。客や同僚など、自分と同じように自己否定感に苦しむ人との交流で得たものとは。耳かき専門店の裏側と併せて、森民さんの変化をご覧いただきたい。