同僚のアドバイスでSNSに漫画を投稿したら大反響! 一方、同僚は漫画家の夢に行き詰まりを感じていて…【漫画家インタビュー】
公開日:2025/7/13

耳かき専門店での勤務経験をオリジナル漫画にしてSNSで発信する森民つかさ(@uouououoza1)さん。自己否定という“沼”にハマってしまっている漫画家志望の主人公が耳かき専門店で働き始め、さまざまな境遇の客たちとの交流を通じて自己否定と向き合う姿と、知られざる耳かき専門店の知られざる裏側を描いた『耳かき専門店で働いて自己否定“沼”から抜け出す話』。著者である森民さんにお話をうかがった。
「耳かき専門店」で働く漫画家志望の主人公は、同じく漫画家を目指している同僚と漫画談義に花を咲かす。そこで耳かき専門店での体験を漫画にして、出版社へ持ち込んだり新人賞に応募したりしたもののダメだったことを話す。すると漫画家志望の同僚が、あるアドバイスをしてくれた。
耳かき専門店の漫画を描き始めた当初は不安だらけ
――耳かき専門店での体験談を漫画化する経緯を描いたエピソードですが、改めて当時の状況を教えてください。
当時は担当さんにどれだけネームを送ってもボツ続きで、高校生の頃から漫画を描き始めて7年経っても新人賞などで何の賞にも引っかかったことがなかったので、「私は漫画を描くの向いていないんだろうな」と自信喪失していました。
漫画を描かない方が楽になれるだろうから、もう描くのやめようかな……と毎日のように考えていました。
――では、耳かき専門店の漫画を書き始めた頃はどんな気持ちで描かれていたのでしょうか。
耳かき店エッセイ漫画を初めて描くことになって、担当さんからGOを出されたときはうれしい気持ちより「自分なんかが耳かき店のエッセイ漫画描いていいのだろうか……。面白く描けるだろうか……」と、実際はすごく後ろ向きな気持ちでした。
今見返すと線も震えているというか歪んでいますよね。不安定な心の状態が画面に映し出されているなぁと思います。
――漫画をSNSにアップするというアドバイスをくれた同僚に、同じ方法を勧めたらまさかの反応をされていますが、そのときはどう思いましたか?
他人には客観的で的確なアドバイスと励ましのエールを送れるのに、自分に対しては厳しい意見しかかけてやれない……。お客さんのときと同じようなことが、こんなに身近な友人の身にも起きているとは思わなかったです。
パッと見明るそうな人でも同じようなことが起こるんだなと驚きました。
――もしも今、当時と同じような状況でしたら、やはり耳かき専門店で働いた経験を題材にしようと思いますか?
「未熟でいいから今、自分にできる範囲のことをやりなさい。目の前の皿を食べなさい。その行動を一つ一つ続けていくことでしか次の皿は用意されない」という言葉を、尊敬するタロット占いYouTuberさんが言っていて、当時その言葉にけっこう背中を押してもらったんですよね。
めちゃくちゃ描きたい題材だったわけでもないし自信もなかったのですが、「耳かき店の良くないイメージを払拭したい」という思いは強かったので、今もし当時と同じような状況だったとしても描いていたと思います。
やる気はあっても自己否定感に悩まされてしまう。そんな自分との向き合い方を実体験ベースに描いた本作。客や同僚など、自分と同じように自己否定感に苦しむ人との交流で得たものとは。耳かき専門店の裏側と併せて、森民さんの変化をご覧いただきたい。