“6人の愛人”と争い、自らを陥れた家族への復讐を誓う! 転生した「悪女」の苛烈な復讐&ロマンスファンタジー『お求めいただいた暴君陛下の悪女です』【書評】

マンガ

PR 公開日:2025/6/30

お求めいただいた暴君陛下の悪女です
お求めいただいた暴君陛下の悪女です天壱・STRAIGHT EDGE:原作、SORAJIMA:制作

 家族に裏切られ、祖国に捨てられた美しき王女が、過去に転生し最強の「悪女」として復讐を誓う――。『お求めいただいた暴君陛下の悪女です』(天壱・STRAIGHT EDGE:原作、SORAJIMA:制作)は、復讐とロマンスが交錯するファンタジーだ。読者データに基づき“絶対に面白い”作品に贈られる「ピッコマAWARD 2025」SMARTOON(R)部門を受賞しており、そのドラマチックな展開が読者の心を鷲づかみにしている。

お求めいただいた暴君陛下の悪女です

 ベリエ王国の王女ラースは、シャリオルト帝国との戦争で果敢に戦うが、圧倒的な戦力差に屈し、捕虜となってしまう。そこで自分は祖国や家族にとってずっと前からスケープゴートに過ぎなかったことを知る。稀代の悪女としてさげすまれ、最後には断頭台で首をはねられ命を落とした――はずが、目覚めた彼女は10年ほど前に転生していたのだった。

 二度目の人生を歩むことになったラースは、自分の人生をもてあそんだ祖国と家族への復讐を心に誓い、その第一歩として残虐と悪名高いシャリオルト帝国の皇帝ゼフォンに嫁ぐ。そして一度目の人生の経験と知識を駆使し、敵意ある愛人たちを退けながら、ゼフォンの信頼を徐々に勝ち取っていく。

お求めいただいた暴君陛下の悪女です

 本作は全編フルカラーで描かれ、ラースの華やかなビジュアルや「悪女」ぶりを存分に楽しめる。また戦装束や豪華なドレスといった多種多様な衣装が物語を彩っており、彼女の魅力をさらに引き立てている。

「悪女」を称していても、そのポジションに転生しただけで穏やかな行動ばかりに終始するキャラクターもいるが、ラースは違う。反発する侍女をハサミで脅したり、陰口を叩く者をヒールで踏みつけたり、彼女の「悪女」としての行動は苛烈だ。しかし、これらは過去の裏切りを乗りこえ、復讐を果たすための計算された策略であり、彼女の気高さと知性を際立たせる。一見過剰に感じる彼女の行動も、序盤で彼女が徹底的におとしめられ、過酷な裏切りを経験している様が描かれているため、そこから立ち直り、復讐のために大胆な行動をとるラースに共感し、応援したくなる。

お求めいただいた暴君陛下の悪女です

 皇帝ゼフォンとの関係の進展も見どころだ。ゼフォンは当初、ラースのことを政治の道具としてしか見ていなかったが、彼女の聡明さや行動力に心を揺さぶられ、冷酷な暴君が人間らしい一面を見せる瞬間は本作のロマンスの醍醐味。第4巻で、ラースが連れてきた男性従者に対して嫉妬を匂わせるシーンは彼の心境の変化を感じさせ、思わず胸が高鳴る瞬間だ。

 とはいえ、ゼフォンの周りには6人もの愛人がおり、容易に距離を縮めさせてくれない。愛人たちは寵愛を競うライバルであると同時に、隣国から送りこまれた政略のコマだ。彼女たちと敵対することは隣国と対立することを意味し、国の威信を背景に立ちはだかってくる。愛人たちにラースがどう立ち向かうのかも見逃せない。

お求めいただいた暴君陛下の悪女です

 ラースは愛人たちとの争いを勝ちぬき、祖国や家族への復讐を果たせるのか。そして、ゼフォンとの関係はどうなっていくのか。ぜひこの壮大な物語に飛びこんで、ラースの「悪女」ぶりを体感してほしい。

文=ネゴト / たけのこ