期待に応えられずがっかりさせてしまった…と落ち込む必要はナシ! そう断言する納得の理由とは? 厄介な“自責思考”とおサラバするためのバイブル【書評】
公開日:2025/7/10

他人は変わらないし、責めても仕方ない。ならば、自分がすべてを被ろう…。私も、そう思い続けてきた一人だ。いわゆる“自責思考”を持っており、内心では生きるのがきゅうくつだった。
SNSを中心に多くの人を勇気づけるインフルエンサー・Testosterone(テストステロン)氏の新著となるコミックエッセイ『脱・自責思考 マンガでわかる我慢しない生き方』(主婦の友社)は、そんな“自責思考”をスッとやわらげてくれる一冊だ。
現実にありそうなシチュエーションをもとに、テキストと漫画により、場面ごとで持つべきマインドを教えてくれる本書。「あなたは悪くない」「逃げてもいい」といったメッセージは、いたく心に刺さった。
相手の「がっかりした」はシカトしてもOK
例えば、仕事でミスをしたとき。本稿筆者はフリーランスのために上司はいないが、取引先から「がっかりした」と言われて「自分はなんてダメなんだろう……」と考えてしまうのは、想像にたやすい。
ただ、そのマインドにとらわれていると、過度に自分を追い詰めかねない。「それは違うよ!」と真っ向から否定する本書の一節では、勇気をもらえる。

なぜ、違うのか。本書の理由は腑に落ちる。そもそも「がっかりした」と言ってきた相手には「あなたが私の操り人形になってくれないからムカつく」という思いがある。その「言い換え」が「がっかりした」の一言に集約されているという説明は、妙に納得してしまう。
著者は加えて「勝手に期待しといて文句まで言ってくる連中なんてシカトでOK」と、背中を押してくれる。「がっかり」なんて言われたときは口に出さずとも、内心で「あーそうですか」と開き直ってもいいのだ。
イジって「ネタ」だと逃げる相手は卑怯者
もう一つ、本書の事例を紹介したい。センスもないのに、誰かをイジって笑いを取ろうとする人がいる。
それこそ、自分がターゲットにされたら。いざ怒ると「ネタなのに何マジになってんの?」と、開き直る相手は厄介だ。ただ、周りの空気も気にして「もっと寛容にならなきゃいけないのかな……」と落ち込む必要はないという。

相手を不快にさせておいて「冗談じゃん。怒んなよ」と開き直る人は「自分の言動で人を怒らせたくせに、それを相手のせいにして逃げようとしてる卑怯者」だと、本書はハッキリと断言する。
そもそも「ネタ」や「冗談」という言葉は、相手を不快にさせたことへの免罪符ではない。「人を怒らせたらまず謝れやボケ!」と痛快な一言を投げかける著者の姿勢を、見習いたくもなる。
冒頭「自分を責める前に、世界を疑え!」とメッセージを放つ本書は、“生きづらさ”を感じる人のバイブルだ。私のように“自責思考”を抱える人たちすべてに、すすめたい。
文=カネコシュウヘイ